- 2006/12/11 掲載
【国内IT市場の規模予測】攻めの金融、NGNの通信、広がる日本版SOX法対応
・金融、通信、製造のIT投資が市場を牽引 ・企業/公共部門の2006年IT投資は2.6%成長、消費者市場はマイナスに ・内部統制/コンプライアンス関連のIT投資が増加 |
IDC Japanは、国内産業分野別IT市場規模予測について発表した。
IDCのレポートによると、2006年度国内IT市場全体の成長率は、日本経済の回復にもかかわらず、前年比1.7%の低水準にとどまる見込みとなった。パソコンのリプレイス需要が一巡し、出荷台数が横ばいとなる上に価格が下落、IT市場全体の成長率を押し下げる要因となった。一般消費者と企業向けで見ると、パソコンが大半を占める一般消費者市場は成長率がマイナス6.9%と落ち込む一方で、企業・公共部門はプラス2.6%と比較的堅調な成長率となり、企業の積極的なIT投資が、国内のIT市場を下支えしている構図となった。
産業分野別のIT市場を詳しく分析すると、証券が成長率5.8%、銀行が同5.2%、通信・メディアが同3.9%、組立製造が同3.0%となっている。金融業界では、不良債権処理がほぼ終了し、公的資金の返済を終えた大手金融機関が攻めのIT投資を活発化させている。通信業界では、次世代ネットワーク(NGN)関連のインフラ投資が拡大。また、日本版SOX法や新会社法へ対応するため、内部統制システムの構築やコンプライアンス対応のIT投資が増加するとIDCでは予測している。
ITベンダーは、高成長産業に特化したソリューションを開発し、産業内でのシェアを追及することによって業界平均以上の成長を実現する必要がある。「そのためには、個別案件の獲得に奔走するのではなく、1)共同アウトソーシングセンターやASPといった業種/業務特化型インフラサービスへの投資、 2)業種特化型人材の確保、3)特定業種におけるブランド確立、といった対策を講じ、得意とする業種での競争力確立と顧客囲い込みを追求すべきである。競合ITベンダーの買収や提携も選択肢として検討すべきであろう」と、IDC Japan IT スペンディング リサーチアナリストの伊藤 芳之氏は述べている。
なお、2006年上半期(1月~6月)の調査時点で、2006年の国内IT市場規模は11兆8,218億円となる見込みです。2005年~2010年までの年間平均成長率1.9%で成長し、2010年には12兆7,844億円に達するとIDCでは予測しています。
Source: IDC Japan, 12/2006 |
2006年 国内産業分野別IT市場成長率
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