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- 2023/08/03 掲載
環境基本計画とは何か? 第六次計画で「再注目」の2大テーマとは
環境基本計画とは何か?第五次計画の6つの重点戦略
環境基本計画とは、環境基本法第15条の規定に基づき、政府がより具体的な環境関連政策を取りまとめる際の総合的かつ長期的な施策の大綱を定めるものです。計画は1994年の初策定以来、6年ごとに見直され、次期第六次基本計画の期間は2024年~2030年です。これまでの基本計画では、それぞれの期間において重点的に取り組む分野を定めてきました。
たとえば2018年に策定された第五次基本計画は、(1)持続的な生産と消費を実現するグリーンな経済システムの構築、(2)国土のストックとしての価値の向上、(3)地域資源を活用した持続可能な地域づくり、(4)健康で心豊かな暮らしの実現、(5)持続可能性を支える技術の開発・普及、(6)国際貢献による我が国のリーダーシップの発揮とパートナーシップの構築――という6つのテーマを「重点戦略」として打ち出しています。
第五次基本計画の策定後の2020年に菅政権が政府として温室効果ガスの実質ゼロ目標を宣言し、2022年には岸田文雄首相が炭素中立型経済社会への変革を表明しました。会合では環境省側の事務局がこうした経緯に触れ、政府が環境政策への注力をいかに強めてきたかを説明しました。
一方、出席した専門家委員側からは環境政策の実効性について厳しい意見も上がりました。ある委員は、世界的にCO2排出量の増加基調が続いていることを踏まえ、「国際的レベルでみると、第一次環境基本計画策定以降も、基本的には環境負荷が悪化している現状がある。実態と政策レベルの乖離を反省した上で検証することも必要ではないか」と指摘しました。
「再格上げ」の可能性が浮上する2つのテーマ
第六次環境基本計画の策定に向け会合では、目下直面する問題として気候変動に加えて2つのテーマが話題に上りました。その一つが、「生物多様性」です。
海洋や森林、土壌を含む生態系の維持、回復をめぐっては2010年、愛知県で開かれた国連生物多様性条約第10回締約国会議で20の項目で構成されるいわゆる「愛知目標」が打ち出されました。が、結局のところ全項目の目標達成には至っていません。
未達のままの愛知目標の仕切り直しとして、政府は2030年までに(生物多様性の損失を食い止めて回復軌道に乗せる)「ネイチャーポジティブ」の実現を目指す「生物多様性国家戦略 2023-2030」を策定しました。
今年5月に開かれたG7広島サミットの共同声明においても、生物多様性の損失は気候変動と並ぶ「世界的危機」であるとの記載が盛り込まれました。生物多様性の維持、回復に関する「行動の速度と規模を増加させる重要性に留意」し、課題解決に向けて各国が足並みをそろえる方向性も示されています。こうした機運の高まりを受け、今回の会合でも事務局が次期基本計画に向けた重要課題の一つとして取り上げたのです。 【次ページ】「再格上げ」されるもう一つのテーマ、どう「自分ごと」にするか
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