• 2006/04/27 掲載

岡本行夫氏が2日目の基調講演で登壇、「大転換する国際情勢と日本の対応」

【RSA Conference Japan 2006レポート】

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 2006年4月26日(水)から27日(木)にわたって、セキュリティの祭典「RSA Conference Japan 2006」が開催された。2日目の基調講演は岡本アソシエイツ代表の岡本行夫氏が登壇し、「大転換する国際情勢と日本の対応」について語った。
初日に行われたリチャード・アーミテージ氏による基調講演の概要はこちら

大転換する国際情勢と日本の対応

 2日目の基調講演で登壇したのは岡本行夫氏。同氏は橋本内閣、小泉内閣で内閣総理大臣補佐官を歴任し、NPO 法人「新現役ネット」理事長、立命館大学客員教授をつとめる。そのほかシリコンバレーのベンチャーキャピタル「パシフィカファンド」を通して、ベンチャーの育成やコンサルティング活動に従事するほか、メディアなどでも幅広く活動している。

岡本アソシエイツ代表 岡本行夫氏
岡本アソシエイツ代表 岡本行夫氏


シリコンバレーでは中国人が台頭

 岡本氏はまず、シリコンバレーにおいて特に最近中国人の台頭が著しいことを挙げた。もともとシリコンバレーで創業する人物にはインド人が多く、その理由は数学に強いためeビジネスが得意といった特性を生かしていたためだった。しかし、ここにきてeビジネスの多くは大企業に取り込まれ、ベンチャーでは成り立たなくなってきたため、コアテクノロジーを得意とする中国人が台頭してきているのだという。また、彼らの特徴はその技術力だけなく、英語母国語圏の人々とも見分けが付かないほどの語学力にもある。そのため、13億人の中国人のうち、都心部に住む4億人の中でも才能のある人々は米国シリコンバレーに留学し、技術力を学んだのち就職したあとでスピンアウトによる独立をはかるそうだ。

日本は今また慢心しているのではないのか

 前述のようなシリコンバレーでの状況を見ていると、ものづくりを生業とする日本が情報家電やブロードバンドの普及によって、目に見える「もの」だけで満足し、自分たちの技術水準について慢心しているのではないかと警告。「情報発電所」グーグルをはじめとした第4の波が、インターネットの世界を通した目に見えない世界で超速の進歩を遂げていることに気を付けなければならないと語った。

アメリカの外交政策

 米国も20世紀最大の超大国として一時は慢心していたが、9・11事件で露呈した脆弱性を克服するべく活動している。ただその視点は、極東アジアよりもイラクを「破綻国家」にしないことに釘付けとなっており、6カ国協議も含め、外交リソースを投入できる余力がない現実があると語った。

国家としても個人としても明確な戦略を持たなければならない時代

 日本の外交においては、相対だけでなく周りの諸外国に対しても発信していくべきであり、問題が発生すれば国際裁判所に行くといった明確な自己主張を行う必要性を説いた。また、これは個人にもいえることで、シリコンバレーをはじめとした競争環境に自分を置くなど、プロアクティブな行動を取り、自分の使命感と情熱を忘れないでほしいとして講演を結んだ。



RSA Conference Japan 2006を振り返って

セキュリティの適用範囲が拡大

 今年度のRSA Conference Japanの特徴は、セキュリティの適用範囲がより広範にわたってきた側面が強調されていた点にある。そのため初日は、米国の国防を担っていたアーミテージ氏が基調講演の口火を切り、2日目の基調講演も国防・安全保障に造詣の深い岡本行夫氏が招かれたわけだ。また、その他有料セッションにおいてもJ-SOX法、内部統制といったこれまで比較的ITと縁の薄い法的な内容を絡めたトラックが人気を博しており、セキュリティをビジネスに利用することを前提とした来場者の増加には目を見張るものがあったと思う。

 こういった一連の流れは、Winnyによる情報漏えいをはじめとしたコンシュマーベースのセキュリティに対するボトムアップ的な危機感と、逆に個人情報保護法やe-文書法、前述のJ-SOX法といった法的な整備に伴うトップダウン的な危機感の両輪がもたらした結果なのではないだろうか。今日もポストWinnyをうたう「Share(シェア)」というP2Pソフトによる大規模個人情報流出事件が発生したが、法的な整備が進めば進むほどいっそうメディアをにぎわす事件は増えていくだろう。一定規模以上の企業に顧問弁護士がなくてはならない存在であるように、CIOも同じように必須の存在として今後いっそう活躍のフィールドを増やしていくのではないだろうか。


 ※5月中頃、RSA Conferenceの一部のセッションがストリーミングとして配信されます。ご期待ください。
 

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