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- 2006/04/04 掲載
IP電話の活用で経営革新を実現する
大手企業中心に導入が始まったIP電話も、ここ数年は中小企業での導入が本格化している。通信コスト削減だけではなく、働き方やコミュニケーションをかえることで経営革新を実現するためのソリューションとして注目されている。

ITコーディネータ
杉村麻記子氏
IP電話で実現する経営革新
ビジネス環境が急激に変化する中、人の持つ知識(ナレッジ)は、企業競争力の源泉となる。限られた時間を有効に活用し、知識作業に費やす時間を増やすためには、情報伝達の簡素化、欲しい情報が欲しい形で欲しい時に取り出せるしくみ、社内外での情報共有の強化等の取り組みが必要だ。

従来型電話とIP電話の比較
保険代理業のA社は、本社の移転時にIP電話を導入した。各拠点にいる営業マンの仕事のやり方を変え、問い合わせに迅速に対応し、顧客との対話時間を増やすことが狙いだ。
従来のオフィスでは、お客様から電話がかかってきたときに担当者が不在だと、受付をした人が伝言を記録して担当者に伝えていた。伝言やメモの場合は、伝達までに時間を要したり、正確な内容や相手のニュアンスがうまく伝わらずクレームになってしまうケースもあった。そこでIP電話の付加機能としてボイスメール(留守番電話機能)を導入した。オフィス不在時にお客様がメッセージを録音すると、担当者の携帯電話にメールで通知を行う。外出先の携帯電話から直接録音された内容を確認できるので、迅速かつ適切な対応がとれる。もちろん電話を取り次ぐ人の手間も省けて業務効率が高まった。
さらにグループウェア機能との連携により、電話、FAX、電子メールのメッセージを統合した(ユニファイドメッセージ)。受信した電子メールを自動音声で読み上げたり、受信したボイスメールやFAXをパソコンのメールソフトから確認できる。これまでは会社のデスクに戻らなければできなかった業務もパソコンと携帯電話があれば、欲しい情報が欲しい形で欲しい時に取り出せようになった。IP電話とグループウェアとの連携は、営業マンの円滑なコミュニケーションをもたらし、生産性の向上に貢献している。もちろん、通信コスト削減や電話設備の統合による保守管理コストの削減についても一定の成果を上げている。

IP電話とアプリケーション連携イメージ
A社では今後、テレビ会議や電話会議機能を使い、本社と支店など離れた拠点との情報共有を密にする。また月例の経営会議については、IP電話に接続したパソコンとカメラを使ったテレビ会議に切り替える。これにより会議のためだけにわざわざ出張していた経費を減らすことができる。また新商品の導入時は、開発担当者による説明をテレビ会議システムで各拠点に配信することで、営業担当者の教育を行い販売体制の早期構築をめざす予定だ。
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