- 2005/08/24 掲載
運用管理・コストの負担をかけずに推進するIT化の提案【第1回/全2回】(2/2)
2、運用は専門会社に任せることができる
中堅中小企業にとって、運用の全てを自社で行うことは難しい。その場合、いくつかの 方法がある。【図表3】にその種類を示す。ハウジングとホスティングはインターネットサ ービスを行う事業者向けのサービスとして発達してきたが、ネットワーク速度の向上、イ ンターネットを使った仮想専用線などの技術的な発達と、業務システムの重要性の高まり から、社内業務システムのサーバの運用方法としても利用されるサービスとなってきた。 ASPサービスはかなり以前から利用されてきたサービスであるが、高速なネットワーク回 線と高度なセキュリティの必要性から利用拡大は進んでいなかった。最近はこれらの問題 が解決されたため大きく伸びてきている。特に社員数が少ない中堅中小企業においては、 利用者に応じて料金が決まる仕組みが優位に働いて導入が伸びてきている。【図表3】には それぞれの長所/短所を記載してあるが、これらは見方を変えると、長所が短所になって しまったり、短所が長所になってしまったりする。そこで視点を設定することにより、ど の運用形態を選ぶべきかを見てみる。

図表3■運用の種類
3、 コストから見るとこうなる
システムの利用者にとって運用管理はサービスの提供を受けることである。さまざまな ハードやソフトが組み合わされ、利用者をサポートするプログラムが提供され業務を実施 するのである。このようにサービスを受ける場合はSLA(サービス・レベル・アグリーメ ント)(※1)という考え方が重要となる。SLAを理解するために銀行のATMで考えてみる。ATM は決められた営業時間にキャッシュカードと暗証番号でお金の入出金や振込みなどが行え る。必要な時間は1分程度である。このようにシステムがどのようなサービスをどこまで の範囲で提供するかがサービスレベルである。
このサービスレベルを上げると当然コストも上昇することとなる。前述のATMでは手数 料が無料のものもあれば数百円の場合もある。ATMのサービスレベルを上げるため、操作 を知らない人のために銀行の人が常駐しATMを操作してくれるとしよう。その為にATM 利用料が数千円になってしまったとしたらATMを利用する人はいなくなってしまうであ ろう。社内のシステムにおいても同様で、サービスの提供側と利用者の間でコストを考慮 したサービスレベルを取り決める必要がある。コストだけに着目するわけではないが、SLA にとっては重要な項目である。
例えば、SLAで365日24時間のサービス提供と障害発生時に30分以内の復旧を求められ たとしたらどのような施策が必要であろうか。サーバのための耐震耐火の建物を用意し、 大容量の無停電電源装置を設置し、2台の予備機を常備し、システムを監視する要員を2 名配置することになる。考えただけでも莫大なコストになることがわかるであろう。シス テムにどのレベルのSLAを求めるかはコストに大きく影響する。SLAによって利用者に提 供しなければならないレベルを明確にすることにより、自社でシステム運用するのと外部 の会社にシステム運用を任せることのコスト計算・比較を行うことが初めてできることに なる。
【図表4】に示すようにシステム運用については要求するSLAが高いほど専門会社に任 せた方が、コストが低くなる傾向にある。反対にSLAが低い場合は、専門外社のレベルが オーバースペックとなり、自社で運用した方がコストを低くできる。

図表4■コストとIT成熟度からみた運用
(※1)SLA■サービスにおける品質の保証レベル
関連コンテンツ
PR
PR
PR