• 2005/08/24 掲載

21世紀、中小企業が日本を変える!

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現在、世界は大きく変化していこうとしている。 ある企業はその変化を活かし、別の企業はその変化に立ちすくむ。21世紀の変化を生き抜くためのキーワードとははたして何か。
今回は、シダックス会長、日本ニュービジネス協議会連合会会長である志太勤氏に、 21世紀型ビジネスモデルと、中小企業を活性化させる「21世紀の風運動」について語っていただいた。
21世紀の風は、日本をどこへ導くのだろうか?


志太勤氏
日本ニュービジネス協議会連合会会長
シダックス株式会社代表取締役会長


21世紀型ビジネスモデルの3条件とは?

 改めて私がお話しするまでもありませんが、今、中小企業を活性化しないと日本全体が活性化しないといわれています。
 日本企業の9割は中小企業です。この中には、ITの分野で目覚ましい成長をしているところがありますし、従来分野でも新しい時代のやり方で成長しているところもあります。
 今の時代に20世紀型の経営をやっていたのでは生きながらえていくことはできません。21世紀型のビジネスモデルでないといけないということですね。
 私どもの考える21世紀型ビジネスには3つの条件があります。まず、第一が「グローバル化」。グローバルにものを考えなければいけないし、グローバルに企業を展開していかなければいけない。次が「IT化」。企業にITを導入して体質を変えなければ、事業は存続成長できません。3番目は「人の心の変化を知る」ということです。人の心の変化を知り、それをビジネスに活かす。この3つが、21世紀型ビジネスの基本となります。
 IT分野には先進的な企業が数多くありますが、従来型の産業にしても、成長している企業はこれら3つの条件を備えています。
 代表的な例でいえば、元中小企業で呉服屋だったユニクロが挙げられます。そういうところが21世紀型に転換し、今の姿になったのです。日本でマーケティングをし、ニューヨークで若者向けのデザインを取り入れ、中国で生産して、日本で売る。まさにグローバルとIT。時代の変化をきちんと捉えています。
 身近な食べ物では、回転寿司があります。寿司の素材は元々は江戸前ですが、今は世界中からやってきます。かつては職人が何年も修行しないと握れませんでしたが、今やロボットですよ。そして、威勢のいい兄ちゃんが「へい一丁!」なんて出していたのが、今ではベルトコンベアに載って回ってくる。昔はそんなものを食べるなんて考えられなかった。しかし、今はリーズナブルでおいしければ、ベルトコンベアに載っていてもいい。それが人の心の変化でしょう。

3回目のビッグチャンスをITでつかみ取れ!

 昨年10~12月の中小企業についての指標を見ると、売上も利益も30%くらい向上しています。伸びているところは伸びていますが、その一方、そうでないところもあります。
 今、日本は3回目の転換点にあるといわれています。第一は明治維新、その次は第二次世界大戦、そして現在です。これまで大きな転換があった15年後くらいには、すごいビジネスが成長しているんですよ。明治維新の際は、三菱や住友のような財閥が生まれました。第二次世界大戦後には、ホンダやソニーのような企業が誕生しました。3回目、まさにビッグチャンスの今、まったく新しいビジネスができつつあります。
 このチャンスをしっかり認識することが必要です。ITを活用すれば、世界に対して広告することも、世界中から情報を得ることも、瞬時にできます。こんなことは今までの日本いや世界の歴史でも例がありません。ITに堪能になるかどうかが、その人の人生における最大の武器になるでしょう。
 先に、IT化、グローバル化、人の心の変化ということをいいました。コンピュータとネットワークが完全に世界を変えてしまったのです。人間の考え方までも。それをマスターするかどうかは、ビジネスはもちろん、幸せな人生になるかどうかの分かれ目にもなります。要するに、人との差をつけるということです。
 ただし、情報が多すぎることもあります。ですから、自分の方向をぴしっと定め、定めた方向の情報は誰よりも速く正しく得られるような鍛錬が必要になります。それができた人は、これからの人生の勝者になれるでしょう。逆に、それをしない人は負け組だと思います。 

新しいビジネスも、60歳から

 転換点は、高齢者にもチャンスをもたらします。
 昔は1つのビジネスを成功させるのに10数年かかりました。ところが、今は数年で一挙に成長する例が増えています。ですから、高齢者でも、チャンスを活用すれば新しいビジネスを成功させることができるわけです。今、人生は80歳まであるのですから、70歳になってもまだ10年働けます。
 若い人と高齢者では何が違うかといえば、体力だけですよ。友人関係、お金の作り方、ものの売り方にしろ、経験のある人には大変なパワーがあります。私は自分が60歳になった時、『60歳起業論』(東洋経済新報社)という本を書き、この話を国連関係の場で講演することになりました。その時、事務局にいるオーストラリア人の方が実によいことをおっしゃった。「高齢者という言葉はやめて、熟練者という言葉を使おう」と。素晴らしいなと思いました。
 落ちた体力は、労働時間を半分に減らしたり、若い人のサポートに回ることで補えばよいでしょう。企業の中でも、熟練者を追い出すのではなく、その人たちが能力を発揮できる使い方を考えていくべきです。50歳、60歳といっても、まだ20年分は働けるのですから、それをもっと活用しなければ。

中小企業から日本を変える「21世紀の風」運動

 私が会長を務めている日本ニュービジネス協議会連合会は、役員も含めメンバー3200社の80%が中小企業で構成されています。中小企業が成長することで、日本全体の成長につなげることを目的とし、「創業」、「企業革新」、「雇用拡大」という3つのターゲットを中心に活動しています。21世紀型ビジネスモデルについても、みなに知らしめていかなければなりません。最近はいろいろな経済特区ができてきましたが、ああいうところからビジネスが数多く生まれるでしょう。このようなビジネスチャンスを世の中にどんどん伝えていきたい。
 しかし、企業が活動する上で規制の壁にぶつかってしまうこともあります。そこで、現場の経営者が困っていれば、その声を聞いて提言していこうと。
 このように、ビジネスチャンスを中小企業に伝え、同時に中小企業の声を取り上げていこうというのが、「21世紀の風運動」です。

 我々が「行政」の窓口で要望をいっても、聞いてはもらえません。では、「行政」にいうことを聞かせるのは何かといえば、「政治」です。そして、「政治」を動かすのは誰かといえば、我々「大衆」なのです。いうなれば、グーチョキパーというジャンケンの関係ですね。
 アメリカでは、大衆と行政の関係が、双方向にかなり近くなっています。大統領は一般から選ばれ、部下を集めて行政組織を作りますから、大衆が行政の中心になるわけです。そういう風に日本も変えていかなければなりません。
 それにはまず、現場の問題を掘り出し、大衆の声を集めるところから始めなければならないのではないでしょうか。政治、そして行政に対し、みんなが事業をしやすいように働きかけていく。それができるのは、21世紀の風運動しかありません。
 2003年9月に第1回目の新聞広告を出し、みなさまのご意見を募集しました。2回目には、集めたご意見を新聞紙上で発表。そして、3回目の時にはちょうど衆議院選がありましたので、政党を問わず立候補者全員に「個人マニフェスト」という7つの提言を送付しました(表参照)。個人マニフェストに賛成する人は手を挙げてください、我々は応援しますよと。
 例えば、社民党の土井たか子さんは、個人マニフェストを読んで、返事してくださった。「創業促進・事業継承のための贈与税を非課税」には反対、「創業5年間は、法人税を免除」は条件付きで賛成、それ以外はすべて賛成だということでした。こうやって意見をいってくださるのが素晴らしい。
 政治家も含めて、日本中こぞって国を活性化しなければならないと願っていることがわかります。


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