チャレンジャーズ 新居 示雄、不破 久孟
チャレンジャーズ 共同代表 新居示雄
東京大学教養学部で哲学研究に没頭。卒業後は、ドリームインキュベータにて、大企業向けの戦略コンサルティングと、投資先ベンチャーの上場支援に従事。「哲学とビジネスの融合により、次のAppleを日本から生み出す」という想いから、ヘルスケアサービスの開発と、企業や大学・研究機関のイノベーション支援を行うチャレンジャーズの設立に参画。
インターン 不破久孟
慶應義塾大学経済学部4年在学中。政府系金融機関に入社予定。大学時代は会計学と、米国留学でパブリック・スピーキングを研究。ヘルスケア業界やベンチャー企業への関心から、チャレンジャーズにて長期インターンを行う。
前編の記事では、GAFAとAIベンチャー100の取り組みの中から、ヘルスケア領域のビジネストレンドを俯瞰(ふかん)した。GAFAがユーザーとの接点と膨大なデータを活用して、ヘルスケアのプラットフォームを構築しようとしているのに対して、AIベンチャーは、特定領域を深堀したAIソリューションを構築しようとしている。こうした企業が、米国だけでも300兆円ともいわれるヘルスケア領域の覇権をめぐり、2020年代にしのぎを削っていくだろう。しかし、上記の企業の取り組みは、あくまで現在において顕在化しているトレンドである。2020年代に起こるであろう、非連続な潮流とはなんだろうか? 後編では、その潮流を、ヘルスケアの根源的な課題から、予測してみたい。
激動の2010年代が終わり2020年代に突入した。米国最大手のベンチャー・キャピタル、a16z(アンドリーセン・ホロウィッツ)が予言したように、2010年代は「ソフトウェアが世界を飲み込んでいく」時代だった。スマートフォンが爆発的に普及し、ソフトウェアは人々の生活の隅々にまで入り込んだ。この時代に覇権を握ったのは、米国のGAFAをはじめとするテック・ジャイアントたちであった。では、2020年代はどのような時代になるのだろうか? a16zは2019年、「ソフトウェアは世界を飲み込み尽くした。次は、ヘルスケアだ」と新たな予言をした。この新たな予言を導きの糸として、2020年代の来るべきヘルスケアビジネスの潮流について、分析をしていきたい。(2020年1月初版公開、2020年12月更新)