EYストラテジー・アンド・コンサルティング シニアマネージャー 影山 岳史
15年以上の金融機関向けコンサルティングの経験を有する。主に、ネット銀行、銀行持株会社等の異業種の金融機関設立に伴う導入支援、銀行業務のDXコンサルティングから、メガ銀行と協業してRPAを活用した地方銀行向けの業務効率化サービスの企画立案・展開に従事している。
2023年4月1日に労働者の賃金の給与デジタル払い制度が解禁になった。キャッシュレス化を推進する政府の成長戦略の一環で、顧客企業などにデジタル払いサービスを提供する業者として、大手の資金移動業各社が参入を表明している。厚生労働省による指定が予想される今夏以降に本格始動する見込みだ。人事院も国家公務員への支払いで導入検討を始めており、海外に比べ遅れているキャッシュレス普及を促す可能性がある。本稿では、給与デジタル払い制度の導入に至る経緯と概要を整理した上で、労働者保護のために設けられた要件と資金移動業者・賃金を支払う企業側の課題などを確認する。さらに、給与デジタル払い解禁後の論点について説明する。