会員になると、いいね!でマイページに保存できます。
共有する
ビッグデータ活用が本格化し社内外で蓄積されるデータも膨大になると、それらをいかにして整理するか、という課題に直面する。将来にわたり増え続けるデータ量を安全に保管し、柔軟に運用するためのポイントとは。SCSK主催の「最新ストレージで実現する社内インフラの最適化セミナー」では、新興ベンチャーのストレージ企業が存在感を増し、激変するストレージ市場の動向やユーザー調査の結果、米国の法律事務所の導入事例などが紹介された。
基幹、情報系ともにアーカイブデータの活用が進みつつある
ストレージ関連の調査を十数年にわたり担当するテクノ・システム・リサーチのシニアアナリスト 幕田範之 氏によれば、企業におけるファイルサーバの年間容量の増加率は、2014年から1年間で15%も伸びているという。
その中で幕田氏が「非常に重要なポイント」と指摘するのは、アーカイブデータの扱われ方である。全体としてストレージ容量は増えているにもかかわらず、アーカイブデータの比率は、財務会計、人事・給与、CRM・SFA、販売、生産すべての領域において容量が減っているというのだ。
これは裏を返せば、眠っていたデータが徐々に利用されはじめているということでもある。センサー、SNS、ログなど、これまで蓄積されてきたアーカイブデータをビッグデータ解析に活用するためには、安全で安価、かつ運用の手間をかけずに長期間保存できるストレージが必要になってくる。
落ち込む大手ベンダー各社に対して、好調な新興ベンチャー
次に、グローバルのストレージ業界の動向を見てみよう。2015年のストレージ市場規模は総計で2兆円ほどに成長している。地域別のシェアは、米国が53%、EUが28%、日本が7%の順だ。各ベンダーのシェアは、EMC(29%)、NetApp(16%)、IBM(12%)、日立製作所(10%)、HP(10%)、Dell(5%)と続く。
幕田氏は「2014~2015年の出荷金額の対前年比をみると、大手ベンダー5社はすべてマイナス。一方で元気がよいのが新興ベンチャーのストレージベンダーだ」と分析している。
ストレージ市場においてスケールアウトNASが注目されるワケ
ストレージ業界が激変する中で、ユーザーはどのようなストレージを求めているのだろうか。幕田氏はユーザー調査の結果をもとに解説した。
ユーザーの69%が求める要件として挙げたのが「バックアップを意識しない」ことだった。また「データ移行が容易」「データ移行が必要ない」のどちらかを回答したのは47%と半数近くに達しており、データ保護やデータ移行が関心事になっている。
また、新しいストレージへデータを移行する際の障壁について「問題あり」と答えたユーザーは88%にも及んだ。さらに「データ移行に時間がかかる」(86%)、「システムを止めなければならない」(65%)といった運用面を指摘する声も多い。データ移行時のトラブルも多く、移行中のシステム停止やデータ消失という最悪の事態を引き起こしたという経験があるユーザーもいるようだ。
こうした中で、CAGR(年平均成長率)23.3%で出荷金額が拡大しているのがスケールアウトNASだ。2015年には従来型NASの半分程度だった出荷金額が、2018年には逆転すると予測されている。
では、なぜスケールアウトNASが伸びているのか。幕田氏は「ストレージ容量が増大するとリビルド時間も長くなり、従来のRAIDでは対応が難しくなる。そこで最近では、データ移行が容易なスケールアウトNASに期待がかかっている。実際にスケールアウトNASを導入・導入意向を示す企業は、2013年から2年間で27%から48%まで急伸している。今後はミッドレンジ以上のスケールアウトNASが増える」と予測した。
シリコンバレー発のスケールアウトNAS「OneBlox」とは?
続いて登壇したSCSK ITエンジニアリング事業本部 ストレージネットワーク部 遠藤 秀喜氏は、確実なデータ保護を低コストで実現するExabloxのスケールアウトストレージを紹介した。Exabloxは、ストレージ業界に長い経験を持つメンバーが集結して設立されたシリコンバレーのベンチャーで、SCSKは2016年に同社と国内総代理店契約を結んでいる。
Exabloxの主力製品は、スケールアウト型のNASアプライアンス「OneBlox」だ。遠藤氏は、OneBloxついて「導入・増設など管理面が容易なことが特徴だ。また低価格ながらも、インライン重複排除・圧縮、スナップショット、レプリケーションなど多くの機能を備えている。バックアップやアーカイブのほか、ビッグデータ用の『アクティブ・アーカイブ・ストレージ』などにも活用できる。今後は安価なスケールアウトNASにデータをどんどん蓄えて活用していただくことをご提案している」と説明する。OneBloxの特徴はスケールアウト、インライン重複排除、CDP、強力なデータ保護、かんたん設定・操作などが挙げられる。
海外の先進事例にみるOneBloxの活用法と、最新ソリューション事例
OneBloxは、海外では多くのシーンで利用されている。例えば、北米のヘルスケアサービス会社を対象に活躍する法律事務所の「Hopper,Lundy & Bookman」(HLB)は、予測できない訴訟データの容量増大や、災害対策に備えたいという要望があったが、大規模な投資ができないという課題を抱えていた。さらにバックアップデータに対する重複排除機能の適用、スケールアウトでの拡張というニーズもあった。
そこで同社が採用したのがOneBloxだ。以前は計5つのストレージを独立に運用していたが、高速SAN以外をOneBloxで統合。さらに災害対策用として、ロサンゼルスとサンフランシスコにてデータをレプリケーションしている。
またOneBloxだけでなく、これと組み合わせたソリューションもベンダーが提供している。例えば仮想環境データ保護ソリューション「Veeam」とセットで、効率の良いバックアップとレプリケーションを実現できる。
Veeamはエージェントレスで、指定されたVMをストレージから直接バックアップしたり、復元することが可能だ。災害時には、復元ポイントからレプリカVMの順番を指定して起動することができる。
SCSKでは、NECの「NIAS」(NEC Information Assessment System)を活用したExabloxアーカイブソリューションも用意している。NIASは、ファイルサーバの利用状況を見える化し、不要なデータ削除やアーカイブ化を行うことでストレージの容量を削減できる製品で、アクセス権の棚卸や、それに伴う情報漏えいリスクの低減も可能だ。最新のV3.3バージョンでは、個人情報が含まれるファイルを検出し、隔離・削除などの対策を講じられるオプションもサポートしている。
最後に遠藤氏は「SCSKはExabloxの国内総販売代理店として日本市場で展開させていただく。お客様がご要望される追加機能があれば、ぜひご意見をうかがって、Exabloxとともに改善に努めていきたい」とし、スケーラブルNASストレージの拡販を目指すことを強調した。
評価する
いいね!でぜひ著者を応援してください
会員になると、いいね!でマイページに保存できます。
関連タグ