- 2025/03/17 掲載
トランプ関税は米成長下押し、OECDが貿易戦争の弊害警告
[パリ 17日 ロイター] - 経済協力開発機構(OECD)は17日、トランプ米政権の関税引き上げは、カナダ、メキシコ、米国の経済成長を押し下げ、インフレ率を押し上げると予想した。世界経済の見通しを下方修正し、より広範な貿易戦争が成長をさらに低下させると警告した。
全般的な貿易ショックの場合、米国では家計が直接的な高い代償を払うだけでなく、経済が減速し、関税が生み出すはずの追加収入以上のコストを負うことになると予想した。
世界成長率は2024年の3.2%から25年が3.1%に、26年は3.0%に減速するとし、昨年12月の予想(ともに3.3%)から下方修正した。
関税引き上げの動きが広がれば、世界のビジネス投資に重荷となり、インフレを押し上げ、中央銀行は想定よりも長期にわたり金利を高く維持せざるを得なくなると指摘した。
OECDは今回、4月から米国がカナダ、メキシコからのほぼ全ての輸入品に25%の追加関税を課すとの想定で予測を更新した。
それによると、米国の成長率は今年が2.2%、来年は1.6%に減速すると予想。従来予想(2.4%、2.1%)から引き下げた。
関税の影響が最も大きいのはメキシコで、今年の成長率はマイナス1.3%、来年はマイナス0.6%に下方修正した。従来予想はプラス1.2%、プラス1.6%だった。
カナダの成長率も、今年、来年とも2%から0.7%に大幅に下方修正した。
<貿易戦争の影響>
貿易戦争の直接的な影響が今のところ少ないユーロ圏の成長率は、今年が1.0%、来年は1.2%と予想した。ただ従来予想(1.3%、1.5%)からは下方修正された。
中国については、政府の強力な支援が高関税の影響を相殺するのに寄与すると指摘した。今年の成長率は4.8%(4.7%から上方修正)、来年は4.4%(変更なし)と予想した。
OECDは、米国が非コモディティーの輸入全てについて関税を引き上げ、貿易相手国も同様の措置を取れば、世界経済の見通しは大幅に悪化すると指摘した。
二国間関税を恒久的に10%ポイント引き上げた場合、導入2年目と3年目までに世界の成長率を約0.3%ポイント押し下げ、世界のインフレ率は最初の3年間で平均0.4%ポイント上昇すると予測した。
このシナリオでは、米国の成長率が3年目までに0.7%ポイント押し下げられ、、米家計の直接的なコストは1世帯あたり最大で1600ドルと予測した。
関税による経済的足かせから生じる金銭的コストは、関税収入の増加を相殺するとし、米政府が想定する、他の税金を引き下げるための財源としては不十分であることを意味すると指摘した。
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