- 2025/03/07 掲載
連合、25年春闘の賃上げ要求は平均6.09% 32年ぶり高水準
Kentaro Sugiyama
[東京 6日 ロイター] - 連合が6日公表した2025年春闘の賃上げ要求(定期昇給分を含む)は加重平均で6.09%と、昨年同時期の5.85%を上回った。要求が6%を上回ったのは93年(7.15%)以来32年ぶり。今年も力強い賃上げが実現するか注目される。
集計は3日時点。「平均賃金方式」で賃上げを要求した2939組合の平均は1万9244円、6.09%。ベースアップと定昇を明確に区別できる2454組合のベア分の要求は1万4283円、4.51%だった。
24年春闘は平均賃上げ率が5.1%と、91年以来33年ぶりの高水準で着地したものの、実質賃金は賞与などの支給時期を除くと前年を割り込む状況が続き、連合は「生活が向上したと実感している人は少数にとどまっている」との認識を持つ。25年の要求水準を「5%以上」で据え置き、力強い賃上げの定着を目指している。
300人未満の中小組合1891組合の賃上げ要求は6.57%で、94年(6.67%)以来の高水準となった。連合は企業規模間の格差是正に向けて中小組合は「6%以上」を目安としたが、要求はそれを上回った。
もっとも、大企業に比べて業績が改善していない中小企業が6%の要求に応えるのはハードルとして高いとの見方も多い。会見した芳野友子会長は「目標はあくまでも目標。結果にこだわっていきたい。中小・小規模事業者は4、5月まで交渉が続いていくので、連合として最後の最後までサポートしていきたい」と語った。
連合は第1回回答集計の結果を14日に公表する。
<要求を小幅に下回る水準で着地か>
企業業績は堅調で、大企業を中心に賃上げ原資は確保されているとみられる。財務省が4日に公表した24年10─12月期の法人企業統計によると、全産業(金融・保険業を除く)の経常利益は前年同期比13.5%増の28.7兆円と、同時期として過去最高。内部留保に当たる利益剰余金も617兆円を突破し、過去最高で推移している。
大和証券のエコノミスト、鈴木雄大郎氏は「満額回答に近いものが出やすい状況で、最終的に要求水準から小幅に下し回る程度で着地する可能性が高い」と指摘する。
日銀の内田真一副総裁も5日の講演で「これまでに得られたヒアリング情報や各種アンケートなどによると、昨年に続き、しっかりとした賃上げが実現する可能性が高い」と指摘。それが個人消費を支えるとの考えを示した。
市場では、賃金上昇トレンドが今後の日銀の利上げに関する議論を後押しするか注目されている。大和証券の鈴木氏は「日銀は今年もある程度しっかりした賃上げになると判断して1月に利上げした。春闘が想定通りに進んでいけば、市場では7─9月の追加利上げが一段と意識されるのではないか」との見方を示した。
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