- 2025/02/19 掲載
広がる銀行不信=貸金庫窃取、みずほ銀でも
銀行業への信用を揺るがしかねない貸金庫からの顧客資産の窃取が新たに判明した。みずほ銀行は18日、元行員が貸金庫から顧客の資産を盗んでいたと発表。昨年11月公表の三菱UFJ銀行に続いてメガバンク行員による窃盗が発覚し、貸金庫への不信感が拡大しそうだ。2019年に問題を把握しながら公表しなかったみずほ銀の判断の是非も問われる。
「こうした事案が続くことは金融機関に対する信頼に懸念が生じることになりかねない」。加藤勝信金融相は18日の衆院財務金融委員会で危機感を示した。
みずほ銀の被害額は顧客2人で計数千万円。約70人で計約14億円の三菱UFJ銀のケースとの比較では被害の規模は小さいが、顧客資産を預かって安全に管理するという銀行業の根幹に関わる深刻な問題であることに変わりはない。
さらに、みずほ銀は問題を把握した19年当時、金融庁に報告したが、同庁を含めて公表されることはなかった。この点について、加藤氏は財金委で「最終的に公表するかしないかは各金融機関の判断だ」と釈明した。だが、三菱UFJ銀のケースで犯行が行われたのは、20年4月から昨年10月までの間。その前に業界を挙げて再発防止策を講じる機会があったのではないかとの疑問は残る。
金融庁によると、19年度以降に報告を受けた同様の貸金庫窃盗は昨年2月に公表済みのハナ信用組合と合わせて3件のみ。三菱UFJ銀の問題発覚後に各金融機関が一斉に行った点検でも新たな不正は報告されていない。
一方、金融庁には、実際の被害の有無は不明だが、20年7月から昨年12月までに貸金庫の窃盗被害などを訴える個人の相談が、20金融機関で28件寄せられたという。貸金庫を巡っては銀行が原則中身を把握できないため、マネーロンダリング(資金洗浄)に悪用されかねないといったリスクも指摘される。各行は信頼回復に向け、貸金庫ビジネスの在り方について再考を迫られそうだ。
【時事通信社】 〔写真説明〕みずほ銀行の看板
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