- 2025/01/31 掲載
ECB理事会後のラガルド総裁発言要旨
[フランクフルト 30日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は30日、主要政策金利の0.25%引き下げを決定した。利下げは4会合連続で、昨年6月以降で5回目。インフレ低下プロセスは「オントラック」と指摘した。
理事会後のラガルド総裁の記者会見での発言は以下の通り。
<中立金利>
経済を刺激するために中立金利を下回る必要があるかと聞かれれば、それは回答できない。われわれはデータに基づき会合ごとに決定する。特定のペースについて事前にコミットしない。
<中立金利にはない>
ECBは中立金利には到達していない。これは全く時期尚早な議論。
<スタグフレーションなし>
スタグフレーションに関する議論は一度もない。第4・四半期は成長の停滞が見られたが、1四半期のみだ。回復はあってもスタグフレーションはない。
<ビジネスに対する関税の悪影響>
関税が世界規模で悪影響を及ぼすのは明白。
<消費の回復>
消費は今後上向き、回復プロセスを引き続き支援すると確信できる十分な理由がある。
<中銀準備資産におけるビットコイン>
政策理事会、そしておそらく一般理事会のメンバーの間でも、準備資産は流動性が高く、安全で確実なものでなければならず、マネーロンダリング(資金洗浄)などの犯罪行為の疑いに悩まされるべきではないという見解で一致している。そのため、一般理事会に属するいかなる中央銀行の準備資産にもビットコインが組み入れられることはないと確信している。
<賃金上昇の減速>
現時点でわれわれが入手している全ての指標は下向きになっており、賃金は2025年に低下するというわれわれの確信が裏付けられている。従業員一人当たりの報酬という極めて有用で適切な指標のほか、求人と失業の比率などの指標は全て同じ方向を示している。
<大幅利下げについては議論せず>
(50ベーシスポイント(bp)を意味する)5と0という2つの数字は議論の対象には全くならなかった。25bpは全会一致で支持された。
<インフレ目標達成>
インフレは2025年中に目標値に達し、中期的には2%の目標が持続的に達成されると確信している。
<金利の方向性>
金利はまだ制約的な領域にいる。どこで止めるかという議論は現時点では時期尚早であるため行っていない。われわれは進むべき方向を知っている。
<同日の利下げについて>
全員一致の決定だった。
<消費者信頼感は脆弱>
消費者信頼感は脆弱で、家計は実質所得の増加から支出を大幅に増やすのに十分な刺激をまだ得ていない。しかし、回復の条件は整っている。
<雇用市場は堅調>
ここ数カ月、労働市場は軟化しているものの、引き続き堅調で、失業率は12月時点で6.3%と低い水準を維持している。堅調な雇用市場と所得の増加により、消費者の信頼が高まり、支出が増加するはずだ。
<下振れリスク>
経済成長に対するリスクは引き続き下振れ傾向にある。世界貿易における摩擦の拡大は、輸出を抑制し世界経済を弱め、ユーロ圏の成長を圧迫する可能性がある。
信頼感の低下により、消費と投資が予想ほど早く回復しない可能性がある。ロシア・ウクライナ戦争や中東での紛争をはじめとする地政学的リスクにより、この状況はさらに悪化する公算が大きい。
<貿易摩擦>
世界貿易の摩擦が拡大すれば、ユーロ圏のインフレ見通しはより不透明になるだろう。
<インフレ見通し>
インフレ率は短期的には現在の水準付近で推移すると予想している。その後、中期的には2%前後で安定的に落ち着くはずだ。
<インフレ目標>
対象となる経済指標の大半は、インフレが中期目標に持続的に回帰する方向に沿って推移している。
<ユーロ圏経済について>
経済は第4・四半期に停滞した。短期的には弱い状況が続くとみられる。
<貿易について>
貿易摩擦が激化しなければ、世界的な需要の増加により輸出が回復を支えるはずだ。
<ディスインフレが進行>
インフレ抑制のプロセスは順調に進んでいる。インフレ率はスタッフの予測とほぼ一致した推移を続けており、今年中に中期目標の2%に戻る見込みだ。
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