- 2025/01/30 掲載
EUが競争力向上の提言書、米中と互角目指す 企業負担軽減
提言書は鉄鋼、自動車などの従来型産業およびバイオ技術や量子コンピューターなど先端技術について、今後2年間の法制化や取り組みの道筋を示したもので、前イタリア首相で前欧州中央銀行(ECB)総裁のマリオ・ドラギ氏が発表した報告書「ドラギ・リポート」に一部基づいている。
提言書は「欧州が管理された段階的な経済的衰退を受け入れれば、『緩慢な苦悩』を自らに課すことになる」とし、域内産業の衰退に危機感を示した。
計画ではまず2月26日に、エネルギー集約型産業の脱炭素化とクリーンテクノロジーの生産拡大を支援する複数年計画、「クリーン産業ディール」を発表する。安価なエネルギーの推進案も示す。
また同日、大企業が提出を義務付けられている持続可能性に関する報告書、デューデリジェンス(資産査定)規則、「気候に優しい投資」の定義枠組みを中心に、企業の報告義務の軽減計画を発表する。
欧州委員会はこれについて、報告義務の負担を少なくとも25%、小規模企業については少なくとも35%軽減し、年間375億ユーロ(390億ドル)のコスト削減を目指すパッケージの第1弾になると説明している。
公共調達入札において欧州企業を優遇する提案や、欧州委員会が送電網や蓄電施設などのエネルギーインフラにおける各国の政策を調整する提案も含まれている。
欧州委員会はデジタルインフラや人工知能(AI)の活用、必須医薬品など重要な製造業分野でも同様の調整的役割を果たす可能性がある。
革新的な企業がEU単一市場をフル活用できるようにする特例的な法的枠組みの導入や、EUとしての重要資材の一括購入、EU単一の防衛産業市場の創設案なども盛り込んだ。
欧州委員会は企業やフランス政府などから、企業の報告義務を簡素化するだけでなく、最近承認された気候変動関連の法律を先送り、もしくは骨抜きにするよう圧力をかけられていた。またトランプ米政権からは、事業を行いやすくするよう求められている。
欧州委は30日、域内自動車セクターから今年の二酸化炭素(CO2)の排出削減目標などについて意見を聞く予定だ。
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