- 2025/01/30 掲載
カナダ中銀0.25%利下げ、成長予想を下方修正 米関税も懸念
[オタワ 29日 ロイター] - カナダ銀行(中央銀行)は29日、主要政策金利を0.25%ポイント引き下げ3.00%とした。2025年の成長率見通しも引き下げ、トランプ関税がカナダ経済に大きな損害を与える可能性があると警告した。
マックレム総裁は会談の冒頭で「長期かつ広範囲にわたる貿易紛争はカナダの経済活動に深刻な打撃を与えるだろう」と述べた。
トランプ米大統領はカナダとメキシコに対する25%の関税を2月1日に発動する計画。カナダの財・サービス輸出の75%が米国向けとなっている。
中銀によると、カナダと他の国々が米国に報復として25%の関税を課した場合、カナダの成長は初年度に2.5%ポイント、2年目にさらに1.5%ポイント低下する可能性がある。これは予測ではなく、仮説的なシナリオという。
同中銀は声明で「インフレ率が約2%にあり、経済が供給過剰となっていることから、理事会は政策金利をさらに0.25%ポイント引き下げて3%とすることを決定した」と述べた。
マックレム総裁は「政策金利という単一の手段だけでは、生産力の低下とインフレ率の上昇に同時に対抗することはできない」としながらも、インフレ率が低いことを踏まえると、中銀は経済の調整を支援することはできると述べた。
同中銀は、2025年の同国の経済成長見通しを1.8%に引き下げた。昨年10月時点の予測は2.1%だった。26年についても、2.3%から1.8%に下方修正した。 インフレ率見通しについては、25年は2.2%から2.3%に、26年は2.0%から2.1%に引き上げた。この予測には米国の関税の可能性は考慮されていない。
中銀はまた、新型コロナウイルスによるパンデミック(世界的大流行)を受け供給した過剰流動性を吸収するために実施していた量的引き締め(QT)について、3月に終了させると発表した。
今回の利下げは6会合連続。インフレ率は中銀が目標とする1─3%のレンジの中間付近で推移しているものの、経済成長は依然として低迷している。
BMOキャピタル・マーケッツのチーフエコノミスト、ダグ・ポーター氏は「中銀は難しい舵取りを迫られる」とし、トランプ米政権が実際に関税措置の導入に踏み切れば、中銀は一段と積極的な利下げに動くとの見方を示した。
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