- 2025/01/22 掲載
イスラエル、債務残高の対GDP比率が69%に上昇 軍事費拡大で
[エルサレム 21日 ロイター] - イスラエル財務省は21日、2024年に軍事費として約1000億シェケル(280億ドル)を支出したと発表した。24年末の政府債務残高の対国内総生産(GDP)比率は69.0%と23年末の61.3%から上昇し、過去2年間では約9%ポイント上がった。
パレスチナ自治区ガザでのイスラム組織ハマスとの戦闘と、レバノンの親イラン武装組織ヒズボラとの戦いが支出増の主因。これらの戦闘を巡っては、この数週間以内に停戦協定が結ばれた。
スモトリッチ財務相は、23年にガザでの戦闘が始まる前のイスラエルは政府債務残高の対GDP比率が低かったため柔軟性があり、避難民や企業、予備兵を支援するための資金を確保できたと指摘した。
財務省のローテンベルグ会計総長は「24年の政府債務残高の対GDP比率は、安全保障と民間の両面で戦争での需要に対して政府が大きく対応したことを反映している」とした上で、「できるだけ早く」低下傾向に戻さなければならないと付け加えた。
財務省は国際通貨基金(IMF)のデータを引用し、それでもイスラエルの政府債務残高の対GDP比率はユーロ圏の88.1%、米国の121%、日本の251.2%と比べると低いままだと主張した。
イスラエルの債務残高は24万に1兆3300億シェケルとなり、23年の1兆1300億シェケルから膨らんだ。24年の全体の政府支出は6210億シェケルだった。
政府は24年に2780億シェケルを調達し、うち79%はイスラエルの債券市場を通じて調達した。19%はグローバル債で、残りは国内の非流通債で賄った。
イスラエルは昨年3月に10年国債と30年国債の公募で過去最高となる80億ドルを調達していた。
ハマスによる23年10月のイスラエルへの攻撃でガザでの戦闘が始まって以来、イスラエルは計3600億シェケルを調達した。22年の調達額は630億シェケル、23年は1600億シェケルだった。
ローテンベルグ氏は「大規模な借り入れを調達できるのは、イスラエルの洗練された厚い資本市場と力強い経済、安定した金融システムの結果だ」と訴えた。
24年の財政赤字の対GDP比率は6.9%となり、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の影響を受けた20年(11.6%)以来、4年ぶりの高水準となった。大手格付け会社3社全てが24年にイスラエルの格付けを引き下げた。
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