• 2024/12/19 掲載

焦点:米FRBの利下げ予想後退、米株は金利上昇の逆風直面へ

ロイター

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Lewis Krauskopf Suzanne McGee

[ニューヨーク 19日 ロイター] - 今年好調に上昇してきた米株式市場は、米連邦準備理事会(FRB)の来年の利下げ見通し修正を受けて、国債利回りの上昇という障害に直面しそうだ。

FRBは18日まで開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、予想通り3会合連続で利下げした。しかし同時に公表した経済見通しでは2025年のインフレ予想を引き上げた。同年中の利下げ回数は2回と想定され、9月の前回見通しの半分になった。

株式市場はこれまで金融緩和への期待に支えられ、金利上昇の影響を逃れてきた。だがFOMC終了後に指標10年債利回りは4.52%と、6カ月ぶりの高水準を記録。金利の先高感は割高感のある米株の勢いを弱める恐れがある。

ジョン・ハンコック・インベストメント・マネジメントの共同チーフ投資ストラテジスト、マシュー・ミスキン氏は「金利は今後の株式市場にとって最大のリスクだ」と述べた。

「FRBが勝利宣言をしたような時期もあったが、インフレの再加速でFRBはこれまでの進展を再考せざるを得なくなっている」と指摘した。

18日の株式市場では、S&P500指数が3%近く下落し、1日の下げ幅としては8月以来の大きさとなった。ハイテク株中心のナスダック指数も3.6%の大幅安となった。ただ、依然として年初からそれぞれ23%と29%上昇している。

ドル指数は2年ぶりの高値を付けた。一方、金は約2%下落した。

国債利回りは数週間前からすでに上昇傾向にあった。FRBが金融緩和サイクルの一時停止を示唆する「タカ派的な利下げ」が予想されていたほか、米国の財政状況悪化への懸念も長期金利を押し上げていた。

しかし、FRBの利下げ予想修正とパウエル議長が記者会見で示した慎重な姿勢が相まって、投資家は警戒感を強めた。

ブランディワイン・グローバルのポートフォリオマネジャー、ジャック・マッキンタイア氏は市場の反応について、「FRBが多くの信用を失ったことを示している」と指摘した。「FRBは利下げしたが、その理由を説得力のある形で示せなかった」と述べた。

<長期金利水準、節目は4.5%か>

一部の投資家は、指標10年債利回りが4.5%を上回れば株価に混乱が生じ、より低リスクの投資先に資金が流れる可能性があるとみている。

ボストン・パートナーズのグローバル市場調査ディレクター、マイケル・ムラニー氏は「利回りは今後さらに問題になるだろう」と述べた。同氏は10年債利回りが来年5%に上昇すると予想している。

LSEGデータストリームによると、今後12カ月の1株当たり利益をベースにしたS&P500のPER(株価収益率)は22倍と、長期平均の15.8倍を大きく上回っている。

クレセット・キャピタルの最高投資責任者(CIO)、ジャック・アブリン氏は「23年初めからPERはかなり上昇しており、国債利回りのわずかな変化にも脆弱になっている」との見方を示した。

今回のFOMCは、1月のトランプ次期大統領就任前に行われる最後の会合だった。トランプ氏は景気刺激策や関税引き上げなど、インフレにつながる恐れのある政策を提起しており、FRBの利下げに課題をもたらすとみられる。

一方、多くの投資家は依然として株式に対する強気の見方を崩していない。米経済は引き続き堅調で、企業利益は来年10%以上増加すると見込まれている。

UBSグローバル・ウェルス・マネジメントの米資産配分責任者ジェイソン・ドラホ氏は、「FRBは依然として利下げに傾いている」と述べ、株価上昇に追い風になるとの見通しを示した。

同社は来年末時点のS&P500の目標株価を6600としている。これは18日の終値を約12%上回る水準となる。

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