- 2024/12/17 掲載
アームとクアルコムの法廷闘争開始、AI対応PCの行方に影響も
[ウィルミントン(米デラウェア州) 16日 ロイター] - 米半導体大手クアルコムが買収した半導体設計のヌビアが特許の使用許可(ライセンス)契約に違反して商標権を侵害したとして、英半導体設計大手アームがクアルコムを相手取って起こした訴訟の法廷闘争が16日、米東部デラウェア州の裁判所で始まった。判決次第では、人工知能(AI)に対応したパソコン(PC)の行方に影響を及ぼす可能性がある。アームは日本のソフトバンクグループの傘下企業で、2023年に米国で上場している。
クアルコムは今年、ヌビアの設計を利用した低消費電力のAI対応PC向け半導体を発売した。米マイクロソフトなどはこの半導体を採用することで基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」を用いたPCの競争力が高まり、米アップルのPCに奪われた優位性を取り戻すのに役立つと期待している。
ヌビアとクアルコムはそれぞれアームとライセンス契約を結んでいたが、金銭的な条件が異なっていた。アームは、クアルコムがヌビアの技術に基づく設計を使用するためには、ヌビアの契約条件について再交渉する必要があると主張している。
アームの弁護側は、クアルコムが許可なくアームの技術を使用していることを知っていたことを証明することを目指すと説明した。
アームのレネ・ハース最高経営責任者(CEO)は、顧客企業がアームの技術を採用した企業を買収する際には、ライセンス条件について交渉する必要があると主張してきたとして「このような問題が発生したことは1度もない」と証言台で訴えた。
ハース氏はクアルコムに対し、ヌビアの技術を使うのにはリスクがあることを伝えていたと陪審員に説明した。
これに対してクアルコムの弁護側は、アームの技術はクアルコムに遅れを取ったにもかかわらず、アームがより高いライセンス使用料を得ることで収入を増やしたいと考えていたことの証明を目指すと説明。ハース氏に対する反対尋問で、クアルコムによるヌビアの買収で年間数千万ドルの収入が失われることをアームが懸念していたと内部文書やコミュニケーションを通じて示した。
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