- 2024/09/02 掲載
値上がり銘柄拡大、利下げがバリュー・小型株後押しか=今週の米株式市場
[ニューヨーク 30日 ロイター] - 米株式市場では値上がり銘柄の裾野が広がりつつあり、大型ハイテク株への買いが集中する状況を懸念する投資家にとって心強いシグナルになっている。
株価全体がなお、エヌビディアやアップルといった大型ハイテク株の値動きに左右される中でも、これまで比較的人気が薄かったバリュー株や小型株にも資金が流れ込むようになった。
チャールズ・シュワブのリズ・アン・ソンダース最高投資責任者は「どの角度で切り取っても、買いはかなり広がってきていて、足場を築いていると思う」と述べた。
バリュー株は、株価純資産倍率(PBR)や株価収益率(PER)といった尺度で割安化している銘柄で、金融や工業などが含まれる。これらや小型株は、米経済がしっかりした状態を維持しつつ、米連邦準備理事会(FRB)が利下げに動けば、さらに上昇する余地があるというのが一部投資家の見方だ。
市場では、FRBは17―18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを開始するとの予想が支配的になっている。
チャールズ・シュワブのデータからは、株式市場の循環物色が加速するとともに、過去1年で14%だったS&P総合500種におけるアウトパフォーム銘柄の比率は、過去1カ月で61%に達したことも分かる。
一方、BofAグローバル・リサーチの分析では、エヌビディアやテスラ、マイクロソフトなどの超大型7銘柄(マグニフィセント・セブン)は、7月11日に発表された米消費者物価の伸びが予想を下回って以来、S&P総合500種の他の493銘柄に対して値動きが14ポイントもアンダーパフォームしている。
また8月28日にエヌビディアの業績見通しが投資家の高い期待値をクリアできなかった後でも、株価全般は底堅く推移し、投資家が大型ハイテク株以外に目を向けている様子がうかがえる。
実際S&P500種の均等ウエート指数は8月最終週に高値を更新して年初来上昇率が10.5%前後となり、S&P総合500種との格差を縮めている。
バリュー株の中では、ゼネラル・エレクトリック(GE)とエネルギー企業タルガ・リソーシズの年初来上昇率がそれぞれ70%と68%を記録。小型株で構成するラッセル2000指数は8月の安値から8.5%戻した。
UBSグローバル・ウエルス・マネジメントの米国株責任者を務めるデービッド・レフコビッツ氏は、9月6日に発表される8月雇用統計で労働市場が警戒感を誘わない程度に減速していることが示されれば、株式市場の幅広い買いの動きが一段と正当化される可能性があると指摘した。
ただハーバー・キャピタルのポートフォリオマネジャー、ジェーソン・アロンソ氏は、今後特に市場のボラティリティーが拡大して押し目買いのチャンスが出てくるようなら、投資家はハイテク株を見捨てる公算は乏しいとみている。
LSEGのデータによると、ハイテク株の増益率は来年末まで全ての四半期で企業全般を上回る見通しで、例えば第3・四半期の増益率はハイテク株が15.3%、S&P総合500種全体は7.5%と予想される。
アロンソ氏は、大幅な上昇の後で市場参加者が一息入れて別のセクターの投資機会に目を向けることはあるだろうが、ハイテク株は引き続き最も明らかな成長のけん引役だと強調。とりわけ人工知能(AI)をテーマとする買いは、それが間違いだとはっきり証明されるまで有効性を維持するだろうと述べた。
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