- 2024/08/29 掲載
訂正-インタビュー:ファンケルTOBに自信、健康事業で北米M&A検討=キリンHD社長
(本文7段落目の「2030年前後に5000億円規模」を「2030年前後に3000億円、その次はどのくらい先になるか分からないが、5000億円規模」に訂正しました)
Mayu Sakoda Rocky Swift
[東京 29日 ロイター] - キリンホールディングスの南方健志社長は、期間の延長を続けるファンケルへの株式公開買い付け(TOB)について、十分な賛同を得られており、今回新たに設けた期限までに成立できるとの見通しを示した。近年拡大を目指すヘルスサイエンス事業では、北米企業のM&A(合併・買収)を視野に入れながら検討していくと語った。
ロイターとのインタビュー(28日実施)で質問に答えた。
<TOB、この流れでいけば「間違いなく成立」>
キリンHDは28日、6月17日から実施し同日まで延長していたファンケルへのTOBの期限について、9月11日へ延長すると発表した。7月中旬にファンケル株の大量保有が明らかになった香港の投資ファンド、エムワイ・アルファ・マネジメントの保有割合が10.69%に上昇し主要株主になったため、法令上延期を余儀なくされた。
28日午後1時時点でTOBに応じた申込数は約5061万6000株、保有割合は約41%と、キリンHDの保有分約33%と合わせて約74%。すでに買い付け予定の下限に達しており、南方社長は「自信はある。(最低限必要な株数の)目標はクリアできていて、この流れでいけば間違いなくTOBは成立できる。われわれの姿勢、TOB価格は変わっていない。最終日に向けて最大の努力を続けたい」と述べた。
キリンHDは酒類・飲料事業、医薬品事業に並ぶ「第3の柱」としてヘルスサイエンス事業に注力しており、2023年に買収したサプリメントなどの健康食品を手掛ける豪ブラックモアズに次ぎ、ファンケルも重要なパートナーとして位置付けている。
南方社長は「ファンケルが強みとするスキンケア事業は、キリングループが目指す方向と重なるところが多い。われわれの持つノウハウと一緒になって成長させていきたい」と語った。
<買収提案受ける可能性、まったくゼロではない>
キリンHDは2024年12月期通期の連結売上収益を前年比7.8%増の2兆3000億円と見込んでいるが、そのうちヘルスサイエンス事業は1409億円(6%)に過ぎない。3月に社長に就任した南方氏は、それまで同事業を本部長として率いていた。「第3の柱にするためには一定の規模感が必要。2030年前後に3000億円、その次はどのくらい先になるか分からないが、5000億円規模にしたい(訂正)」と述べ、M&Aの手段も含め規模拡大を進める意向を示した。
南方社長は「海外の伸びている市場で、ユニークな技術力とブランド力を持っているところを目指す。たとえば、北米市場はポテンシャルがある」と指摘。具体的な分野はこれから決めていくと続けた。
カナダの小売大手アリマンタシォン・クシュタールがセブン&アイ・ホールディングスに買収提案を行ったことについて、南方社長は「あれだけの大企業でも提案を受ける時代になってきた。(キリンHDも)そういう可能性はまったくゼロではないと思っておかないといけない」と話した。「負けていられない。グローバルで戦っていくには新しい価値を提供し続けないといけない」とし、イノベーションに向けた研究開発投資をこれからも積極的に行っていくと語った。
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