- 2024/08/09 掲載
認証不正は現場依存で発生、環境作りで経営責任果たす=トヨタ社長
[東京 9日 ロイター] - 車の量産に必要な型式指定の認証不正があったトヨタ自動車は9日、国土交通省からの是正命令を踏まえた再発防止に関する報告書を提出した。佐藤恒治社長は記者団に対し、「現場に依存したプロセス(工程)になっていた」と改めて反省し、「節目節目での判断や環境作りに経営がもっと責任を果たしていく必要がある」と述べた。
報告書には、経営陣による開発・認証業務への理解や関与の強化、責任者と工程見直しなどを盛り込んだ。CTO(チーフ・テクノロジー・オフィサー)の中嶋裕樹副社長が開発、G─CQO(グローバル・チーフ・クオリティ・オフィサー)の宮本眞志カスタマーファースト推進本部長が認証のそれぞれ総合判断責任者となり、節目の会議で認証業務を正しく実行するための判断ができるようにした。
7月末に新たに判明した不正対象7車種のうち6車種は国連の型式認定相互承認協定に基づき海外当局の認可を用いて日本の型式指定を取得した車両だったが、佐藤社長は、国連の相互承認協定への「理解が足りなかった」と指摘。1月下旬以降からの社内調査は「第三者的な視点を入れて工程の検査・確認をしている」と語った。
6月から生産停止中の不正対象3車種は9月初旬から生産を再開する予定だが、佐藤社長は、同3車種の停止により約3万台に影響が及び「販売店にダメージが出ている」と話した。同社広報によると、年央に発売予定だった「クラウン・エステート」、今秋発売予定だった「レクサスGX550」の2車種も認証が遅れており、発売時期も未定という。
トヨタ単体の24年度(4月─25年3月)の生産は1000万台を計画するが、佐藤社長は計画見直しについて明言を避けた。下期以降の挽回に関しては「生産負荷をしっかり下げて足場固めをして予定の販売を目指す」と述べるにとどめた。
関係者2人によると、トヨタは主要取引先に対し、認証不正やリコールに伴う一部車種の生産停止などを受けて24年(1─12月)の生産計画は従来の1030万台から980万台に引き下げたことを伝えた。トヨタ広報は暦年の生産計画とその見直しは「公表していない」としてコメントを控えた。
佐藤社長は、豊田章男会長の責任について問われ、6月の株主総会での取締役選任賛成比率が23年の84.57%から12ポイント超低下したことに触れ「大きな課題」だと指摘。海外投資家を中心に現在の経営実態を理解してもらえるよう状況を改善する考えを示した。
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