- 2024/06/13 掲載
電力・防衛軸に投資倍増=26年度に500億円―東芝副社長
経営再建中の東芝の池谷光司副社長はインタビューに応じ、「エネルギー、インフラ事業が成長をけん引する」と述べ、電力や防衛などの分野に対する投資額を倍増させる方針を明らかにした。先月公表した中期経営計画(2024~26年度)の最終年度に23年度の2倍に当たる約500億円を投じ、収益力の強化を目指す。
東芝は昨年、経営方針を巡って対立した「物言う株主」を排除するため、国内投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)の傘下に入り、上場廃止した。池谷氏はJIP副会長を兼務し、中計策定でも中心的な役割を担った。
東芝にとって送配電や発電システムなどのエネルギー事業や、防衛向けレーダーシステムなどのインフラ事業は得意分野だが、成長ペースが鈍化している。池谷氏は生成AI(人工知能)の普及に伴う電力需要の増加や脱炭素の動きが「追い風になる」と指摘。その上で、「デジタルを活用すれば利益を出せる。機器中心のビジネスから(利益率の高い)保守やメンテナンス中心に切り替える」と説明した。
半導体関連には、中計期間の3年で計1000億円超を投資する。電気自動車向けの需要増が期待されるパワー半導体は、石川県能美市の工場の生産増強を進めている。池谷氏は既に提携関係にあるロームを含め、「協業も検討していきたい」と述べた。
固定費に関しては間接部門を中心に国内で最大4000人を削減する方針。池谷氏は「希望退職はこれで最後にしたい」と述べた。一方、支社や生産拠点について「まだ多い。取引先に影響が出ないように効率化を進める」と述べ、集約する必要性に言及した。
収益強化に加え、固定費の削減や甘かった損失管理を厳格化することで、中計に掲げた26年度営業利益率10%の目標達成に自信を示した。
【時事通信社】 〔写真説明〕インタビューに答える東芝の池谷光司副社長=4日、東京都港区
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