- 2024/03/19 掲載
借り入れ負担増、企業圧迫=中小苦境、息切れ倒産も―マイナス金利解除
日銀のマイナス金利政策解除は、企業経営を圧迫しそうだ。大規模金融緩和策の修正に伴い、金融機関からの借入金利は既に上昇しており、「金利ある世界」の本格到来で負担は一段と増す。原材料価格や人件費の上昇で資金繰りが窮迫する中小企業の苦境はさらに深まり、息切れ倒産の増加が懸念される。
東京商工リサーチが2月実施した調査では、回答した4000社超のうち、年末までに借入金利の上昇を予想した企業は半数を超えた。2割弱が「既に上昇している」と答えた。
中小企業はコロナ禍を乗り越えた後も、物価高の打撃を受けており、資金繰りは厳しい。利上げ局面に入り、メインバンクから借入金利を0.5%引き上げると打診された場合、中小では「借り入れを断念する」との回答が2割に上った。
企業倒産件数は2月まで23カ月連続で前年を上回って推移している。超低金利が長期化したことに加え、コロナ禍で売り上げが減った企業に実質無利子・無担保で貸し出す「ゼロゼロ融資」で、再建の見込みがないのに存続する「ゾンビ企業」も増えた。
帝国データバンクによると、本業のもうけを示す営業利益で借入利息を賄えないゾンビ企業が2022年度には25万件超と11年ぶりの高水準となった。ゼロゼロ融資の返済が本格化し、抜本的な事業改革に乗り出せないまま行き詰まる企業が増えそうで、淘汰(とうた)の波が押し寄せる。
低金利の恩恵が遠のく異次元緩和の出口では、延命ではない踏み込んだ支援が急務となる。全国地方銀行協会の五島久会長(福岡銀行頭取)は「経営改善や事業の再構築など、さまざまな工夫をしながら取引先の売上高を引き上げることが必要になる」と話している。
【時事通信社】
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