- 2024/03/19 掲載
中国鉱工業生産と小売売上高、1─2月は予想上回る 不動産低迷
[北京 18日 ロイター] - 中国国家統計局が18日発表した1─2月の鉱工業生産と小売売上高は予想を上回った。政策当局に一定の安心感を与える内容となったが、引き続き不動産部門の低迷が経済と信頼感の重しになっている。
鉱工業生産は前年同期比7.0%増加した。伸び率は2023年12月の6.8%から加速し、ロイターがまとめたアナリスト予想(5.0%)も大きく上回った。また、約2年ぶりの大幅な伸びだった。
小売売上高は5.5%増で、12月の7.4%増から伸びが鈍化。アナリスト予想は5.2%増だった。
2月の8日間の春節休暇で旅行が回復し、観光・接客部門を支えた。
オックスフォード・エコノミクスの中国担当エコノミスト、ルイーズ・ルー氏は「年初の経済活動データは総じて安定した。ただ、力強さの一部が一時的なものである可能性は残る」とし「春節関連の支出で個人消費が一時的に押し上げられた。今年、断固とした消費刺激策が打ち出されなければ、個人消費の力強い伸びを年内維持することは難しいだろう」と述べた。
1─2月の固定資産投資は4.2%増加し、アナリスト予想の3.2%増を上回った。23年は通年で3.0%増だった。
民間投資は0.4%増。23年は通年で0.4%減少していた。
ピンポイント・アセット・マネジメントのチーフエコノミスト、張智威氏は第2・四半期の経済見通しは依然不透明だと指摘。不動産販売が「急減」しており、失業率が悪化していると述べた。
<不動産低迷>
1─2月の不動産投資は前年同期比9.0%減少した。マイナス幅は2023年12月の24.0%から縮小したが、安定には程遠い。不動産販売(床面積ベース)は20.5%減。12月は23.0%減だった。
ゴールドマン・サックスのエコノミストは、セクター別でまだら模様となっているものの、中国の第1・四半期の成長モメンタムは堅調に推移していると指摘。ただ、今年の野心的な成長目標「5%前後」を達成するには、特に需要面で追加の政策緩和が必要との認識を示した。
1─2月の全国調査ベースの失業率は5.3%と、23年12月の5.1%から悪化した。
<日本型停滞リスク>
多くのエコノミストは、当局が家計消費と資源の市場配分に向けて経済を転換させない限り、中国が20年代に日本型の停滞に陥るリスクがあると指摘している。
キャピタル・エコノミクスの中国担当エコノミスト、黄子春氏は「刺激策による追い風を受け、経済の勢いは当面さらに改善すると予想しているが、経済の根底に構造的な課題があるため、この回復は短命に終わるかもしれない」と語った。
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