- 2024/03/13 掲載
春闘の集中回答日、満額相次ぐ 日鉄は10%超える賃上げ
Maki Shiraki Anton Bridge Atsuko Aoyama
[東京 13日 ロイター] - 2024年の春季労使交渉(春闘)は13日、大手企業の多くが労働組合の要求に回答する集中回答日を迎えた。日本製鉄の回答は要求を上回り、増額率が10%を超えた。三菱重工業は年収増率約8.3%で回答した。
日本製鉄は組合要求の月額3万円に対し、3万5000円で回答した。増額率は11.8%。定期昇給などを含めるとプラス14.2%と大幅に引き上げる。三菱重はベースアップ(ベア)要求1万8000円に満額回答し、年収増率は昨年の約7.0%を上回る。
日産自動車やジーエス・ユアサ コーポレーション、計測機器のアズビルも満額で回答した。
今年の春闘はホンダやマツダなどが集中回答日を待たずに満額回答しており、昨年以上に賃上げ機運が高まっている。物価高で実質賃金のマイナスが続く中、前年の水準をどこまで上回り、中小や非正規にも波及して経済の好循環につなげられるかが焦点となっている。
15日には日本最大の労働組合の全国中央組織「連合」が1次集計結果を発表し、全雇用者の約7割を占める中小企業の多くで交渉が本格化する。
連合が7日に公表した今年の春闘の要求集計(4日時点)によると、「平均賃金方式」で賃金引き上げを要求した傘下の3102組合の賃上げ率は加重平均で5.85%で、前年の要求集計の4.49%を上回った。1994年春闘の最終回答集計(5.40%)以来、30年ぶりに5%を超えた
連合によると、前年の春闘賃上げ率は集中回答日から2日後に発表した1次集計が3.80%。7月に発表した最終集計は3.58%で、比較可能な2013年以降で最も高かった。
しかし、厚生労働省によると、物価上昇分を除いた実質賃金は今年1月まで22カ月マイナスが続いている。特に中小・零細企業はコスト転嫁が思うように進まず、十分に賃上げができないところも少なくない。連合の最終集計によると、前年の春闘は従業員300人以上の企業が3.64%だったのに対し、300人未満の企業は3.23%だった。
デフレからの脱却を目指してきた政府は、賃上げが消費を促して再び賃金を押し上げる「経済の好循環」を作り出したい考え。岸田政権は、所得減税などによって今夏には国民所得の伸びが物価上昇を上回る状態に持ち込もうとしている。金融政策の正常化を視野に入れる日銀も、今年の春闘を重要な判断材料にする意向を示している。
*写真を差し替えて再送します。
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