- 2024/03/13 掲載
日鉄、要求超え回答へ=主要企業、満額続出―春闘、13日に集中回答
2024年春闘は13日、製造大手の集中回答日でヤマ場を迎える。日本製鉄は、労働組合側の要求を上回る水準を回答する方針を固めた。自動車大手ではホンダとマツダが労組からの月例賃金と一時金の要求に満額回答、スズキは労組要求の月平均2万1000円を上回る10%以上の賃上げを回答した。他の企業でも要求超えや満額回答の続出が見込まれる。
労使協調で構造的な賃上げ実現を訴えてきた経団連の十倉雅和会長が「昨年以上の賃金引き上げのモメンタム(勢い)を感じる」と述べるなど、物価上昇を上回る大幅な賃上げが製造業全体に波及することへの期待が高まっている。
日鉄は、基本給を底上げするベースアップ(ベア)相当分として労組が要求した月額3万円を上回る水準を回答する方針。ベア3万円は第1次石油危機後の1975年以来49年ぶりの高水準だ。これまでの賃金交渉が2年ごとで、この間、他業種で進んだ大幅賃上げで拡大した格差を是正するのが狙い。鉄鋼大手3社は長らく同じ水準での賃上げを続けてきたが、横並びが崩れる見通しだ。
自動車では、トヨタ自動車がこうした動きに追随するか注目される。トヨタの労組はベアと定昇を合わせて1人当たり月7940~2万8440円の大幅賃上げを求めている。自動車産業は裾野が広く、部品メーカーなどの下請け、孫請け会社には中小企業も多い。24年春闘で労使が目指す構造的な賃上げには「中小企業がキーになる」(日本商工会議所の小林健会頭)ため、大手が産業界全体の賃上げ機運を高められるかが焦点だ。
日立製作所や東芝など電機業界の産業別労組、電機連合はベア要求額を大手12社で統一するのが慣例で、今回は現行方式となった98年以降で過去最高となる月1万3000円以上に設定し、ストライキ実施を判断する最低基準を月1万円以上とした。定昇分を含めると月2万円以上の賃上げを求めている。一時金は日立が年6.4カ月、三菱電機が年6.3カ月、東芝などは業績連動とし各社で異なる。造船重機の大手労組も77年以来の高水準となる月1万8000円のベアを要求している。
【時事通信社】
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