• 2024/03/12 掲載

焦点:地銀危機対応の緊急融資制度終了、FRB窓口貸し出しに注目移る

ロイター

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Michael S. Derby

[11日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が1年前、シリコンバレー銀行破綻などによる金融システムの動揺を防ぐ目的で導入した緊急貸出制度「バンク・ターム・ファンディング・プログラム(BTFP)」が11日で正式に終了した。

BTFP打ち切りにより、今後も避けられそうにない同じような危機の発生時に、FRBがどのように対応するのかとの疑問も浮上しつつある。

米エール大学経営大学院のスティーブン・ケリー准教授など複数の専門家は、FRBがBTFPを復活させるのは避けたいだろうとみている。そこで注目されるのが、長年運営されてきた窓口貸出制度だ。

BTFPは全体として成功を収めたように見えるものの、ペンシルベニア大学ワートン校のピーター・コンティブラウン教授は、BTFPが存在したこと自体がせっかくの窓口貸出制度をFRBがうまく運営できなかった証拠になったと指摘した。

FRB当局者も一定程度これを認め、改善に乗り出している。

パウエル議長は7日の上院における証言で「われわれは(窓口貸出制度に絡む)悪評(スティグマ)問題を取り除くためにもっと努力が必要で、各銀行が必要に応じて実際にこの制度を利用できる道筋を確保しなければならない」と強調した。

FRBが窓口貸出制度の利用を促進しても、特に大手金融機関は尻込みし続けている。利用すればトラブルに陥ったシグナルとみなされるのを恐れているほか、規制当局からの監視の目も厳しくなると心配しているためだ。

このためFRBにとっては、そうした窓口貸出制度の利用に伴う悪評問題を解決することが長年の悲願になっている。

一部の専門家は、FRBが比較的平穏な時期でも相当な窓口借り入れを容認すれば、悪評を招くとの懸念は軽減できると提言。別の専門家によると、FRBが大手行に対して実施しているストレステスト(健全性審査)のシナリオにこの種の流動性を考慮に入れることを認めれば、悪評はさらに立ちにくくなるだろうという。

業界団体バンク・ポリシー・インスティテュートのチーフエコノミストで、元FRB職員のビル・ネルソン氏は、FRBがこの状況に対処する決意は強いと説明。窓口貸出制度は「銀行にとって通常の事業判断の一環」に過ぎず、その積極的利用が金融システムにとって有益だとの見方を広めようとしているもようだと説明した。

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