- 2024/03/12 掲載
24年春闘で大幅賃上げ相次ぐ=満額回答も、早期妥結に拍車―外食・小売業は人手不足深刻
2024年春闘で、大手企業が満額回答など大幅な賃上げで早期に妥結するケースが相次いでいる。今年は自動車などの製造業に加え、外食などのサービス業や小売業にも追い風が吹く。新型コロナウイルス禍による打撃から業績が回復していることに加え、深刻化する人手不足への危機感が後押しとなっているためだ。
外食大手ゼンショーホールディングス(HD)は、定期昇給と基本給を底上げするベースアップ(ベア)を合わせ、正社員の給与を平均12.2%引き上げる。海外展開に向けて優秀な人材を確保する狙いだ。外食では吉野家HDが平均8.91%、モスフードサービスは記録が残る範囲で初となるベアを含め平均8%賃上げする。「サービス業は慢性的な人手不足。待遇を良くして人材のつなぎ留めを図りたい」(吉野家HD広報)考えだ。
小売業界では、J・フロントリテイリング傘下の大丸松坂屋百貨店が月2万円(6.1%)のベアを実施。ベアは07年の大丸と松坂屋の経営統合以降で初めてとなる。家電ではノジマが昨年12月、月1万円のベアを前倒しで決めた。外食や小売りはコロナ禍による外出制限で深刻な打撃を受けた。インバウンド効果などで人の流れが戻り業績が急回復する中、優秀な人材の確保に向けて大幅に賃金を引き上げる動きが加速する。
今春闘では物価高を背景に、23年を上回る過去最高水準の賃上げを求める労働組合が相次いだ。製造業では、13日の集中回答日を前に満額回答が続出。自動車では、ホンダとマツダが要求提出から最初の交渉で満額回答を提示した。スズキは労組要求の月平均2万1000円を上回る10%以上の賃上げを回答。トヨタ自動車はベアと定昇を合わせて1人当たり月7940~2万8440円の大幅賃上げを求め、交渉中だ。
一方、電機大手は回答日に向けて詰めの交渉を続けている。労組側はベア1万3000円を要求した上で、ストライキ実施を判断する経営側からの回答額の最低基準を月1万円以上に設定。回答は業績などにより各社で濃淡が出る見通しだ。
【時事通信社】
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