- 2024/03/11 掲載
米イーライリリーのアルツハイマー薬、予想外の判断延期
[8日 ロイター] - 米製薬大手イーライリリーは、開発中の早期アルツハイマー病治療薬「ドナネマブ」について、米食品医薬品局(FDA)が承認可否の判断を延期し、外部の専門家からなる諮問委員会を開いて安全性と有効性を検討する見通しだ、と発表した。
昨年の臨床試験データでは安全性と有効性が示されており、完全な承認を見込んでいた同社と多くのアルツハイマー病専門家には驚きの展開となった。承認判断の延期は2度目。諮問委の日程は未定。開催までに数カ月かかる可能性がある。
リリー・ニューロサイエンスのアン・ホワイト社長はインタビューに応え、今回のFDAの判断延期について「全くの予想外」と述べた。承認審査プロセスの終盤だったため、同社では発売準備が整っていたという。
イーライリリー株は3%下落した一方、競合するバイオジェン株は2%超上昇した。
イーライリリーは2024年の業績予想に変更はないとしている。売上高予想は404億─416億ドルで、体重減量と糖尿病の治療薬が主なけん引役とみている。
ドナネマブを巡るLSEGのデータによると、アナリストの売上高予想の平均は24年に1億8960万ドル、25年に8億3700万ドル。
大規模治験によると、この種の医薬品の副作用として分かっている脳浮腫は、ドナネマブ投与群の24%で発症した。脳出血はドナネマブ投与群で31%、プラセボ群で約14%それぞれ発症した。
今回のFDAの対応について専門家らは、ドナネマブと脳浮腫と脳出血の関連が問題視されている可能性があると指摘する。同社の治験では3人が死亡している。
また、エーザイとバイオジェンが共同開発したレケンビよりも重い副作用の発症率が高く、FDAがドナネマブに「特別な注意」を払う一因になっている可能性を指摘する声もある。さらには、ドナネマブ治療を中止した患者が、その後に再開する必要がある場合、患者への医療対応がどうあるべきかでFDAが苦慮している可能性を示唆する専門家もいる。
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