• 2024/03/11 掲載

アングル:65歳になった「バービー」、多様性映し進化

ロイター

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Danielle Broadway

[ロサンゼルス 5日 ロイター] - 「バービー」は65歳になったが、250もの仕事から引退する気配はない。米玩具大手マテルのプラスチック製着せ替え人形バービーは、その小さな足で人間界に大きな文化的足跡を残してきた。

黒と白のストライプの水着、象徴的なブロンドの髪、流し目の元祖バービーは1959年、クリエイターであるルース・ハンドラー氏が娘のバーバラさんから着想を得て誕生させた。

しかし2024年、誕生65周年を迎えたバービーには、多様な肌色、髪の質感、体型のバージョンがある。

マテルの執行バイスプレジデント兼最高ブランド責任者のリサ・マクナイト氏はロイターに対し「かつてのバービーは特定の美意識を反映しており、もっと一面的だった。今では多くのバービーがあり、われわれはこのブランドを複数の視点から見ている」と語った。

現在のバービーは肌の色が35色、ヘアスタイルは97種、体型は9種。車椅子、ダウン症、白斑、ラージサイズとさまざまなバージョンがあり、性別のない人形もある。

バービーは最近ファッションアイコンにもなり、「バービーコア」と呼ばれる全身ピンクのコーディネイトを生んだほか、カール・ラガーフェルド氏など、多くの有名ヘアスタイリストや服飾デザイナーに新デザイン誕生のきっかけを与えた。

こうしたブランドの進化に加え、昨年は映画「バービー」の商業的成功が、この人形に新しい感情的な深みを加えた。

しかし、これらの前進は一夜にして成ったものではない。

「バービーと一緒に育たなくて本当によかった」。女性の権利活動家グロリア・スタイネム氏は動画配信サービスHulu(フールー)で2018年に公開されたドキュメンタリー「小さな肩:バービーを再考する」の中でこう語る。

「バービーは、私たちがなりたくなかった、そして『なりなさい』と言われていたもの全てだった」と話す彼女は、1960年代と70年代のフェミニスト活動第2波に加わっていたという。

一部の人々にとっては今日もなお、バービーと言えば非現実的な体型、ジェンダー的役割、欧米中心な美の基準を思わせるものだ。

マテルはこうした懸念を考慮しながらも、ピンク色に可愛く着飾った、しかし多面的なバービーを新たに生産し続けている。

同社は、デザイナーだけでなくさまざまな人たちの声を受け入れている。

「私たちにとって最も重要なのは、デザインに際してあらゆるコミュニティーからの意見を取り入れることだ」と、人形ザイン責任者であるキム・カルモーン上級バイスプレジデントは言う。

ただ、変わらないものもある。手塗りや、1959年ごろから同じミシンを使い続けるといった生産手法だ。

手作業にせよ高度な3Dプリンターを使うにせよ、バービー・ブランドは変化に前向きだ。

「バービー・シグネチャー」ブランドのフィリピン人主任デザイナー、カーライル・ヌエラ氏が手がけた65周年記念版は、初代バービーの水着を、白黒ストライプのドレスに白のキャットアイ・サングラスという姿に再構築したものだ。これにはブロンドヘアの白人版だけでなく、三つ編みに「レイドエッジ」という、黒人女性に人気の髪形を施した黒人版もある。

「過去と同じことを何度も繰り返していたら、バービーは今日のような成功を収められなかっただろう」とカルモーン氏は語った。

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