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  • 2023/07/04 掲載

アングル:足元一服の生成AI関連株、長期的な物色テーマに期待

ロイター

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浜田寛子

[東京 4日 ロイター] - 日本の生成AI(人工知能)関連株の伸びが一服している。米オープンAIの「チャットGPT」の登場で人気化したが、米ハイテク株が調整し、日本の関連銘柄にも重しとなっている。ただ、企業のAI需要が旺盛なことに加えて、政府による積極的な支援姿勢など環境は明るく、長期的な物色テーマになるとの見方も聞かれる。

<米ハイテク株が調整>

「チャットGPT」の登場で日本にも波及した生成AI関連株の物色熱は依然高いものの、足元で多くの関連企業の株価は伸びが鈍化している。過去1年でみると日経平均を上回るパフォーマンスを示す銘柄が多いが、過去1カ月では下回る銘柄も出ている。

1つのきっかけは米ハイテク株の調整だ。米金利上昇は一服しているものの、高値警戒感からの利益確定売りが上値を押さえており、日本のAI関連株もつれて株価の伸びが足元で鈍化している。

*関連銘柄の株価パフォーマンス(7月3日時点)

企業名 1年 3カ月 1カ月

ヘッドウォータース 9.4倍 3倍 1.2倍

エーアイ 1.3倍 0.9倍 1.3倍

ユーザーローカル 1.6倍 1.1倍 1倍

HEROZ 2.8倍 1.5倍 1.2倍

TDSE 2.6倍 1.1倍 1倍

フィックスターズ 1.5倍 0.9倍 1倍

ディジタルメディアプロフェッショナル 2.5倍 1.2倍 0.9倍

ローム 1.4倍 1.2倍 1.1倍

メタリアル 1.7倍 1.3倍 1.1倍

Appier Group 2倍 1倍 1.1倍

アドバンスト・メディア 2.8倍 1.1倍 1.1倍

PKSHA Technology 1.7倍 1.7倍 1.1倍

RPAホールディングス 1.2倍 1倍 1倍

日経平均 1.2倍 1.2倍 1倍

<政府の支援姿勢、追い風に>

ただ、生成AI関連株の上昇余地はまだあるとの見方は市場で多い。1つは政府の積極的な支援だ。

政府は6月16日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本指針(骨太方針)」で、デジタルトランスフォーメーション(DX)、AIへの対応を明記。生成AIの開発・提供・利用を促進することを目的として、AIの多様なリスクへの適切な対応を進めることや、AIの拡充を強化するとした。

AIの開発には大量の半導体が欠かせないが、この面でも政府のサポートが期待されている。

6月26日には、官民ファンドの産業革新投資機構(JIC)が半導体素材大手のJSR を約1兆円で買収すると発表。市場は「岸田政権が半導体を国の根幹の産業として捉えていることは間違いない」(GCIアセットマネジメント・ポートフォリオマネージャー・池田隆政氏)と受け止め、AI関連銘柄の好材料と捉えている。

<高まる企業側の需要>

企業のAI需要も旺盛だ。企業向けに自動応答プログラムの「チャットボット」サービスを提供するユーザーローカルの代表取締役・伊藤将雄氏によると、「働き方改革」やDXの推進、コロナ禍での人手不足によって、企業側のAI活用のニーズが一段と増加したという。

AI開発のHEROZの森博也CFO(最高財務責任者)は「企業側の業績が悪くてもIT関連の経費を削減する動きはみられない」と話す。そのうえで、AI事業を手掛ける企業の課題はいかに「チャットGPT」と連携していくかだという。

「チャットGPT」を活用する企業の動きもみられる。パナソニック ホールディングス傘下のパナソニックコネクトは、2月17日から「チャットGPT」を活用したAIの「ConnectAI」を社内向けにリリースした。プログラミング業務や広報業務の作業効率が高まり、想定の5倍の1日5000回以上の利用が確認されているという。 日本では「チャットGPT」のような大規模言語モデルのAIそのものを作り出すよりも、既存のサービスを使ったビジネスが中心になりそうだとの見方が多い。AIによる企業業績や経済指標などの予測サービスを展開するゼノデータ・ラボ(東京・台東区)の関洋二郎代表取締役社長は、技術面や資金面の課題、加えて日本語でのデータは英語と比較して圧倒的に不足していることが背景と指摘する。

<当面は「森より木」か>

SBI証券の投資調査部長・鈴木英之氏は、生成AI関連の企業の中には利益が小さくPER(株価収益率)が高い割高銘柄も少なくないと指摘する。AI関連であれば、赤字企業でも人気化するのは、ドットコムやバイオといった過去の「ブーム」と同じだ。

ただ、過去1年でみれば、業績が堅調な関連株のパフォーマンスがやはり高い。増収基調が続いているヘッドウォータースの株価は前年比9.4倍。2023年3月期に経常損益、純損益がともに黒字転換したディジタルメディアプロは同2.5倍となっている。

T&Dアセットマネジメントのチーフ・ストラテジスト兼ファンドマネージャー・浪岡宏氏は、生成AI関連銘柄はここ1年ほどの上昇幅が大きかった分、ショックに脆弱な面はあるが、長期的なテーマになる可能性があるとし、株価は総じてまだ上昇余力があるのではないか、との見方を示す。

市場では、今後はAI開発を軸にした企業のIPO(新規上場)が増加すると予想されている。ゼノデータ・ラボの関社長は「2―3年以内での上場を考えている」と述べている。

(浜田寛子 編集:伊賀大記)      

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