- 2023/05/26 掲載
脱炭素、電炉と高炉併用で=原料権益強化―森日鉄副社長
日本製鉄の森高弘副社長は時事通信のインタビューに応じ、二酸化炭素(CO2)排出量を削減するため、電気の熱で鉄スクラップを溶かす電炉と、鉄鉱石から製鉄する高炉を併用する方針を明らかにした。原料の安定調達では海外での権益確保を強化する考えを強調した。
日鉄は、九州製鉄所八幡地区(北九州市)などで、高炉に比べCO2排出量を抑えられる大型電炉の導入検討を始めた。森氏は電炉について、欧米や中国と鉄スクラップの奪い合いになるリスクを指摘。「脱炭素社会が進んでも高炉が全くなくなる世界にはならない」と述べた。
その上で、森氏は「(高炉で)フレッシュな鉄を製造しないと、持続可能な経済成長は実現できない」と説明。高炉で原料炭の代わりに水素を使う「高炉水素還元」の実用化を同時に進める姿勢を強調した。
一方、カナダ資源大手テックリソーシズの原料炭鉱山を巡り、スイス資源大手グレンコアと競合していることについて、「テック社の次の提案を検討したい」と語った。金額など条件が厳しくなった場合には鉱山への出資案を撤回する可能性も示唆。今後も原料炭のほか、鉄鉱石の権益拡大を目指す考えを明らかにした。
【時事通信社】 〔写真説明〕インタビューに応じる日本製鉄の森高弘副社長=19日午後、東京都千代田区
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