- 2023/05/22 掲載
モルガンSのトップ候補、女性不在で多様性への課題浮き彫り
[21日 ロイター] - 米金融大手モルガン・スタンレーのジェームズ・ゴーマン最高経営責任者(CEO)は19日の株主総会で1年以内に退任する意向を示し、後任の有力候補3人を明らかにした。
ただ指名された共同社長のテッド・ピック、アンディー・サパースタイン両氏と投資運用責任者のダン・シムコウィッツ氏はいずれも男性。同社にとっては、経営トップ候補に女性を含めた多様性を持たせるには、まずそれ相応の人材を育成しプールしておく必要があるという課題が改めて浮き彫りになった、と企業統治の専門家はみている。
実際、米金融機関による従業員の多様性に関する最新報告を見比べると、2021年時点でモルガン・スタンレーは他の米銀大手よりも経営幹部陣の女性比率が総じて低いことが分かる。
モルガン・スタンレーで「エグゼクティブ」「シニアオフィシャル」「マネジャー」といった肩書を有する女性従業員の比率は25%だが、JPモルガン・チェースは29%、バンク・オブ・アメリカは36%、シティグループは38%となっている。モルガン・スタンレーを下回ったのは23%のゴールドマン・サックスだけだ。
さらにモルガン・スタンレーの米国の経営幹部に占める白人の割合は80%と、67-78%だった他の大手行より高くなった。
ESG(環境・社会・企業統治)分野を重視する投資会社ドミニ・インパクト・インベストメンツ幹部のメアリー・ベス・ギャラハー氏は、多様性のあるリーダーを生み出したいなら、それにつながる多様性のある人材を持つ必要があると指摘し、それは採用活動やキャリア形成の取り組みと関連しているとの見方を示した。
ギャラハー氏は「要するに適材を適所に配置して意思決定権を与える態勢を確立することであり、これらのリーダーを育てていかなければならない」と説明した。
デロイトが昨年公表した調査によると、金融業界全体でも女性の取締役比率は21%、財務や執行、マーケティングなど各部門の最高責任者の比率は19%、CEOの比率はわずか5%だった。
ウォール街は長年、「高齢男性のクラブ」というイメージの払しょくに苦戦してきたのも確かだ。それでも最近は、ミレニアル世代の働き手にアピールしようと多様性の推進に力を注いでいる。特に21年、シティグループがジェーン・フレーザー氏を業界初の女性CEOに抜擢したことは大きな転機となった。
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