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  • 2022/01/11 掲載

ITインフラの自動化に必須の3つのアプローチとは? SREやIaCをガートナーが解説

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企業のITインフラのクラウド移行が進むのと同時に、デジタル人材の不足が叫ばれる昨今、2022年はますます「自動化」が大きなテーマとなりそうだ。ガートナーでインフラ&オペレーションズ ITオペレーション担当のシニア ディレクターアナリストを務める阿部恵史氏が、自動化を実現する上で必須の3つのメソドロジーとテクノロジーを紹介しつつ、なぜ今、インフラの自動化が重要なのか、徹底した自動化によって企業のビジネスと組織に何がもたらされるのかを解説した。阿部氏によれば、自動化の取り組みを継続したその先に「プラットフォームOps」の実現があるという。
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インフラとオペレーション(I&O)の自動化に関連するポートフォリオ
(出典:ガートナー)
※本記事は2021年11月16日-18日に開催された「Gartner IT Symposium/Xpo 2021」の講演内容をもとに再構成したものです。

インフラ&オペレーションでも自動化が必須に

 自動化が本来、DXやデジタルビジネス実現にとって必須の取り組みであることは言うまでもないだろう。なぜ今、インフラの自動化が重要なのか。

 2020年~2021年は、多くの企業が新型コロナウイルス感染症の影響を受け、未曾有の危機への対応を迫られた。今後は、遅かれ早かれ訪れるであろうニューノーマルの時代に備えて、本格的な回復、そして刷新への取り組みを開始すべき時期を迎えている。

 回復の段階とは、厳しいビジネス環境の中で創出するビジネス価値とリスクやコストとのバランスの最適化を目指すフェーズだ。そのため、企業はITスタッフのスキルを向上させ、クラウドファーストやリモートファーストを前提にITの下地を整えていくことになる。

 そして刷新のフェーズでは、アジャイルプラクティスを拡大し、インフラにおいても長期的なビジネスの成功に貢献できるよう、新たな学びと取り組みの機会を積極的に活用していく段階になる。

 「Gartner IT Symposium/Xpo 2021」に登壇した阿部氏は「組織、とりわけインフラとオペレーション(I&O)の組織が企業の回復・刷新を加速する下地となるために必要な前提が『自動化』になるのです」と話す。

これからのインフラ自動化に不可欠な3つのアプローチ

 インフラとオペレーション領域の自動化がもたらす価値は、「ITコストの削減」「ITパフォーマンスの向上」「ビジネス・アジリティの加速」の3つに大別される。この3つのうち、今後ビジネスを回復させてその先の刷新へ向かうには、とりわけ「ITパフォーマンスの向上」「ビジネス・アジリティの加速」に注力し、定着させていくことが求められるという。

 ITリーダーは、自社の自動化戦略と現在の自動化の採用度・浸透度・成熟度に鑑みて、これら2つの自動化の価値をもたらすテクノロジーのカテゴリの中からどういったテクノロジーが自分たちにとって重要なのかを判断しなければならない。そして、それらに対する一層の投資、取り組み強化、支援が必要となる。

 阿部氏は、そうした取り組みの鍵となるメソドロジーとテクノロジーを3つ挙げた。「サイト・リライアビリティ・エンジニアリング(SRE)」「コードとしてのインフラストラクチャー(IaC)」「イミュータブル・インフラストラクチャー」の3つだ。

「これらは、これからのインフラ&オペレーションの自動化の基礎となる方法論であり、考え方であり、そしてプロセスパターンであるといえます」(阿部氏)。

 ここからは、これらがどのようなメソドロジーあるいはテクノロジーなのかを1つずつ見ていこう。

サイト・リライアビリティ・エンジニアリング(SRE)はDevOpsと補完関係

 サイト・リライアビリティ・エンジニアリング(SRE)は、グーグルが提唱したコンセプトだが、ガートナーでは「スケーラブルで回復力の高いシステムを設計・運用するために使用される、システムおよびソフトウェアエンジニアリングの複数の原則から成る方法論」であるとSREを定義している。

「DXを推進するグローバル企業ではDevOpsを取り入れているところが多く、DevOpsとSREは補完関係にあるアプローチです。たとえばDevOpsの『Dev』の実践アプローチの1つの代表的な姿がアジャイル開発であるとするならば、『Ops』の実践的なアプローチの具体的な一例がSREだといえます」(阿部氏)。

 SREの最大の目的は、一般的には相反するものとして考えられるイノベーションと信頼性のバランスを取りながら、顧客価値の継続的な改善を実現していくことにある。

 阿部氏は、この中で特筆すべき点として「インフラ&オペレーションの領域にソフトウェアエンジニアリングを採用する」ことを挙げる。すべてのインフラをソフトウェアでコントロールし、可能な限り自動化を駆使することがSREの大きなポイントだ。また、SREはすべてのアクションや事象をデータによって測定・分析・可視化し、その上で評価する。

 SREを導入すると、ITメンバーは技術的にはソフトウェアエンジニアリングに携わることになる。そのため、SREの考え方を浸透させていくことで、いわゆるインフラのモダナイゼーションを実現していくために必要な技術やスキルだけでなく、アジャイルな組織文化をインフラ&オペレーションのチームにも醸成することができる。

 SREの一連の取り組みが重要なのは、次代のプラットフォームサービス実現に不可欠な自動化の導入・拡大に必須の技術的スキル、メンバーのマインドセット、組織文化を作り上げていくための基礎になるアプローチだからだ。

【次ページ】コードとしてのインフラストラクチャー(IaC)でソフトウェア開発を自動化
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