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- 2021/06/22 掲載
アップルは「5つのアクション」策定、GAFAMも取り組むカーボンニュートラル
時価総額は主要国のGDP並み、巨大な影響力を持つGAFAM
グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフトのテックジャイアント5社の総称「GAFAM」という言葉が最近日本でもよく聞かれるようになった。これら5社は世界市場全体に影響を及ぼす力を持っており、その動向が無視できないからだ。日本の大手企業を含め、他の企業と比べて、影響力はどれほど異なるのか、時価総額・世界ランキングを見れば、その一端を垣間見ることができる。
2021年6月現在、世界で最も株式時価総額が高い企業はアップルだ。時価総額は2兆1000億ドル(約230兆円)ほど。
次いで、マイクロソフトが1兆9000億ドル(約207兆円)、サウジアラムコが1.88兆ドル(約205兆円)、アルファベット(グーグル)が1.63兆ドル(約178兆円)、アマゾンが1.61兆ドル(約176兆円)、フェイスブックが9543億ドル(約104兆円)と、トップ6のうち5社がGAFAM企業で占められている。
ちなみに世界ランキングトップ100の中で、日本勢ではトヨタが2500億ドルで34位にランクインしているのみ。GAFAM各社の時価総額は、主要国のGDPと比べても遜色ない。たとえばアップルの時価総額は、オーストラリアのGDP1.4兆ドル、韓国の1.6兆ドル、ロシアの1.6兆ドル、カナダの1.7兆ドル、ブラジルの1.8兆ドル、イタリアの2兆ドルをすでに超えている。
この巨大な影響力を持つGAFAMが今、サステナビリティやリジェネレーションに関わる取り組みに注力している。森林・海洋保全などに積極的に投資を行っており、いずれ他の企業も追随せざるを得ない状況がやってくることが見込まれる。
すでにSDGsやESGなどといった言葉に代表されるように、投資家や消費者の環境意識も高まっているが、日本のビジネスパーソンにとっても無視できないトピックとなるのは間違いないはずだ。
アップルが200億円超投資、ゴールドマンなどと森林保全
アップルは2021年4月15日、金融大手ゴールドマン・サックス、環境NGOコンサベーション・インターナショナルと共同で森林保全基金「the Restore Fund」を設立したことを発表した。その額、2億ドル(約218億円)の基金で、森林保全・再生プロジェクトを通じて、年間100万立方トンの二酸化炭素削減を目指す。100万立方トンとは、自動車20万台分の燃料に相当するという。
アップルは2030年までにバリューチェーンにかかる二酸化炭素排出をゼロに削減することを目標としている。このうち75%をサプライチェーンで削減し、残り25%をthe Restore Fundの取り組みで達成する構えだ。
The Restore Fundは「ファンド」であり、森林保全による二酸化炭素削減とともに、投資家へのリターンを作り出すことも活動に含まれる。
この過程で、環境NGOコンサベーション・インターナショナルは森林保全プロジェクトが環境基準などさまざまな基準を満たしているのかを査定し、ゴールドマン・サックスはファンドの資金の流れを管理する役割を担う。プロジェクトの詳細は今後発表されるとのこと。

今回のThe Restore Fundは、そのプロジェクト規模やゴールドマン・サックスとの提携など、関心を集める要素があり話題性が高い。
一方アップルは、この数年サステナビリティに関する取り組みを続けており、同社のサステナビリティへのスタンスを理解するには、The Restore Fundをそれらの文脈で位置づけることが重要となる。
【次ページ】アップルの100%カーボンニュートラルに向けた「5つのアクション」
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