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- 2021/06/11 掲載
量子コンピューターで「最も早い市場」が、スマホに実装される「QRNG」である3つの理由
前編はこちら(この記事は後編です)
QRNGはTRNGに代わるか?
QRNG以外の「真の」乱数発生源(TRNG:True Random Number Generators)がQRNGに取って代わられるには4~6年ぐらいかかるとIQTは予測しています。どちらの乱数発生器もハードウェアベースであり、乱数の質が重要視される場合には、ソフトウェアソリューションよりも適しています。TRNGは、その多くが低レベルで統計的にランダムな「ノイズ」信号を生成する微細な現象に基づいています。一方で、QRNGはエントロピーの源を本質的にランダムな量子力学的現象にまでさかのぼることができます。近い将来、QRNGが有利なソリューションとして注目されるとIQTが予測する明確な理由は4つあります。
1. 明確な物理モデル
TRNGとは異なり、QRNGハードウェアではランダム性がどこから来ているのか(根本的に予測不可能な量子現象)を明確に示すことができます。この明確さがハードウェアへの信頼性を高め、認証プロセスを容易にします。TRNGは当然ながらランダム性のテストに合格しています。しかし、時間の経過とともにテストは厳しくなり、QRNG専用の新しいレベルの要求が出てくることが予想されます。
2. リアルタイムモニタリングの容易化
ハードウェアベースの乱数発生器には、ヘルスチェック(ハードウェアが正常に動作しているかどうかの監視)が欠かせません。量子ハードウェアは、TRNGに比べてリアルタイムでの監視が容易で、生成プロセスを停止する必要がありません。故障した場合には、ユーザーに直ちに通知されます。
3. 攻撃に対する高い耐性
ハードウェア乱数発生器への攻撃は、通常、環境を介して乱数発生器に影響を与え、システムにバイアスをかけることで出力される乱数をより予測しやすくします。
QRNGは環境の影響を受けにくいと考えられています。また、QRNGには、ユーザーがベンダーを信頼する必要のない、より高度な「デバイスに依存しない」形態があります(最高のセキュリティ要件が求められる環境向けで、よりニッチなアプリケーションです)。
4. 同等またはそれ以上の性能と価格
現在、TRNGとQRNGは、チップ状のものと大型のものがあり、スループットは数Mbpsから数千Mbpsまでさまざまです。価格も同程度のようです。
QRNGとTRNGの比較 | ||
QRNG | TRNG | |
ランダム性の起源 | 明確な実証が可能 | 明確な実証は困難 |
リアルタイムモニタリング | 容易 | 容易ではない |
環境による影響 | 強い耐性 | 耐性は強くない |
チップセット価格 | 同レベル | 同レベル |
スループット | 数百~数千Mbps | 数百~数千Mbps |
QRNGがさらに魅力的なのは、これまでTRNGがまったく浸透していなかった多くのマス・マーケットに適用される可能性があることです。
【次ページ】量子技術の最初のマス・マーケット
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