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- 2021/02/01 掲載
『絶対達成』シリーズ著者の横山信弘が解説、営業DXで「静かなる衰退」を食い止めよ
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VUCA時代に気合いと根性は「必要」
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代表取締役社長 横山 信弘氏
企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。
最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。「日経ビジネス」「東洋経済」「PRESIDENT」など、各種ビジネス誌への寄稿、多数のメディアでの取材経験がある。メルマガ「草創花伝」は4万人超の企業経営者、管理者が購読する。著書は『絶対達成マインドのつくり方』『絶対達成バイブル』など「絶対達成」シリーズの他、『「空気」で人を動かす』『自分を強くする』等多数。著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。ロジカルな技術、メソッドを激しく情熱的に伝えるセミナーパフォーマンスが最大の売り。
「これまで営業は気合いと根性の世界だといわれてきました。テクノロジーの進展によって気合いと根性は古いということが盛んに喧伝されますが、その考えこそが古いと言いたいです」(横山氏)
横山氏によれば、営業という職種には独自の特性があるという。すなわち、お客さまという相手あってのものであるため、「理屈(正論)が通じない」「想定外の事態が連続する」「成約までに関係を構築すべき相手が膨大」という困難が当たり前に存在し、こうした状況を乗りこえるために「気合いと根性は必要」なのである。
加えてビジネスを取り巻く環境は「VUCA」とよばれる、変動性、不確実性、複雑性が高まる時代に突入している。「正解が分からない」状況に対応するため、より「攻めの営業」にシフトしていくことが求められる。
横山氏が支援する企業には成熟期にある企業が多い。「企業は、導入期、成長期を経て成熟期に至り衰退期へと向かう」と横山氏は話す。成熟期には既存ビジネスの引き合いが多く、「営業は引き合い対応や待ちの営業だけでもある程度、成績を残せる」が、その状況を放置していると、徐々に衰退期に向かってしまう。
この「静かなる衰退」を食い止め、第2、第3の成長を遂げるのに必要な「営業DX」はどのように進めればいいのだろうか。横山氏はまず営業DXの定義から話し始めた。
第2の成長を遂げるのに必要な「営業DX」とは
「静かなる衰退」を食い止めるための「営業DX」とは何か。だ。まずDXについて、横山氏は、「業務のデジタル化(デジタライゼーション)に加え、思考や行動の変容を伴うもの」だと定義した。つまり、営業DXとは、「テクノロジーを使って、営業担当者の思考や行動をいかに変えていくか」という取り組みだといえる。
「私たち自身が変わっていくために、新しいことに挑戦していく必要があります。新たな訪問先の開拓、新たな仕事の進め方に挑戦するには、結局のところ気合いと根性しかないのです」(横山氏)
しかし、単に気合いと根性があればDXが実現できるわけではない。横山氏は、組織営業をチームスポーツになぞらえ、「野球やサッカー、ラグビーなどのチームスポーツで試合に勝つためには気合いがあることは前提で、その上でデータ分析や戦術が必要だ」とした。営業DXにもテクノロジーが不可欠で、これが「セールステック」だという。
「組織で戦えば、1+1で2以上の力を生み出せます。たとえ営業担当者一人ひとりの個人能力に突出していなくても、セールステックをうまく活用することで、チームとして大きな力を発揮することができるのです」(横山氏)
実際の営業プロセス全体で見てみよう。成約までのプロセスには大きく、「リードジェネレーション(見込み客生成)」「ナーチャリング(顧客育成)」「商談」「クロージング」の4つがある。
一般的に、リードジェネレーションはマーケティングが担当し、ナーチャリングはインサイドセールスが担うことが多い。そして、案件化した後の商談とクロージングをフィールドセールスが担当するのが一般的だ。
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