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- 2018/07/31 掲載
台東区の一部は真備町レベルの浸水、有楽町も2メートル ハザードマップを確認せよ
実際の浸水エリアとハザードマップによる予想は一致していた
今回の水害でもっとも被害が大きかった地域のひとつが岡山県倉敷市の真備町地区である。同地区では堤防が決壊し、地区の4分の1以上が浸水する事態となった。水の深さは最大で4.8メートルにも達したという。真備町地区では、7月7日の午前1時頃に堤防が決壊したとみられているが、国土地理院は堤防決壊から4日後の7月11日、同地区を中心としたエリアの浸水推定段彩図を公表している。これは、映像などの情報を基に、どの場所が何メートル浸水したのかを地図上に示したものである(図1)。
この図を見ると、小田川の北側の広い範囲と南側の一部エリアが浸水していることが分かる。川に近い場所では水深が5メートルとなっているところもあった。
実はこの図で示された浸水エリアと倉敷市が公表していた洪水ハザードマップにおける浸水エリアの予想図はかなりの部分で一致していた。
ハザードマップにおいて水深5メートルの被害が予想されていたエリアは、小田川の北側の広い部分と、川の南側の一部地域であり、実際に被害を受けた場所とほぼ同じである。
同地区の住民は、何十年も前から洪水のリスクを認識しており、治水対策を進めるよう国土交通省に要請してきたそうだが、今年の秋にようやく着工というタイミングで洪水が現実のものとなってしまった。
今回のケースは、地域住民が強い危機意識を持っていたにもかかわらず、被害を防げなかった残念なケースだが、洪水が発生した際、どの程度の被害が発生するのかについては、ハザードマップを見れば、事前にかなり詳細に予想できることが分かる。
首都圏の洪水ハザードマップをチェックすると
ハザードマップによって被害の状況をかなり正確に予想できるということであれば、自分が住んでいる地域や働いている地域のハザードマップをチェックしておくことは危機管理の第一歩といってよいだろう。状況が推測できなければ対策のしようがないからだ。では首都圏のハザードマップはどうなっているのだろうか。
東京都千代田区の洪水ハザードマップは、大雨によって下水処理能力の限界を超えた場合の水害(図2)と、荒川の堤防が決壊した場合の水害(図3)に分けて作成されている。
大雨で下水処理能力を超えた場合には、当然のことかもしれないが、低地になっている地区が浸水の被害に遭いやすい。神田神保町から飯田橋にかけての地区には、予想深度が1メートルから2メートルのエリアが続いている。飯田橋には神田川が流れているので、川に近づくにつれて土地が徐々に低くなってくる。
水深は0.5メートル未満とそれほど深くはないが、丸の内や大手町一体も場所によっては水があふれると予想されている。秋葉原の近辺も広い範囲で0.5メートル未満もしくは1メートル未満の浸水が発生する。
かつて伊勢湾台風の際に避難した人のアンケート調査では、男性では0.7メートル以上、女性の場合には0.5メートル以上の水深になると歩行が困難になったという。小学生の場合には0.2メートルでも避難が難しいともいわれる。
これらは水流がない状態の話であり、水に流れがあった場合にはさらに危険度が増す。0.5メートルの浸水でも侮るのは危険だ。
荒川の堤防が決壊した際には、被害はより広範囲に及ぶ。秋葉原近辺は2メートルの水深となり、大きな被害が発生する可能性が高い。また日本橋から大手町、八重洲、内幸町など、日本経済の中枢エリアのほとんどが広範囲に浸水する。特に有楽町は2メートルとなっており被害が大きい。
大手町から丸の内にかけては超高層ビルも多く、建物が物理的に大きな損害を受ける可能性は低いが、ここまで広範囲に浸水が広がると、本社機能が一部、麻痺するといった事態に陥ることは十分に考えられる。
ちなみに荒川に近い台東区は、ほとんどの地区が浸水の被害を受ける。一部地域では、真備町地区と同様、5メートル級の浸水が予想されている。
【次ページ】世田谷区など、台地エリアに住む人も安心してはいけない理由
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