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- 2018/07/20 掲載
マシンラーニングがこれからの「情報共有」のカギである理由
エバーノートCPO エリック・ローベル氏独占インタビュー
情報があふれ過ぎて「1年に280億時間」が無駄になっている
2018年、エバーノートがサービスを開始してからちょうど10周年を迎えた。「この10年で、人々をとりまく情報のあり方は大きく変わった」とEvernote 最高製品責任者(Chief Product Officer、以下CPO)エリック・ローベル氏は語る。
この10年で1人ひとりが処理する情報量が爆発的に増えた。情報の種類も多様化した。電子メールばかりではなく、画像、動画、SNS、チャットなど、フォーマットの異なる情報が絶えずいろいろなところから入ってくる。
「ある試算によると、あまりにも情報があふれているために1年に280億時間が無駄にされており、50%の人々はこれらの情報をどう管理したらいいか頭を悩ませています。また、30%の人々は求める情報を探し出すのにいつも苦労しています。そして80%の人々が、この情報爆発の課題をなんとか解決するよい方法がないか探しているというのです」(ローベル氏)
また、ローベル氏によれば、情報のボリュームが増えたことを契機として、情報は個人で所有するものから仲間で共有するものへと考え方がシフトしてきているという。情報は独占的にクローズドで管理するより、オープンにして共有した方が生産性が向上し、協業がうまくいくからだ。その意味で、あふれる情報をいかに管理するかは、もはや個人の課題というばかりではなく、組織で業務を遂行する上でも大きなテーマとなっている。
情報共有は「3つの方向」で進む
当初は「個人のための情報の保管庫」という位置づけでスタートしたエバーノートだったが、ここ数年は組織内のコラボレーション支援に力を入れている。従来の「プレミアム」アカウントに共同作業のための機能と管理ツールをプラスした「Evernote Business」がその例だ。ここで掲げているコンセプトは“情報を扱うためのインテリジェントな作業場”。方向性は大きく3つある。1つ目は、“コラボレーションを促進する”。仕事であれ、家庭であれ、エバーノートを情報共有の場、コラボレーションの場にしようというものだ。
2つ目は、コグニティブ処理の推進だ。これまでは人間が自分で情報を選択し自分で体系化してきた。ここにマシンラーニングを使って、ユーザーの求める情報を自動的に収集、互いに関連性を持たせながら提示できるようにする。
3つ目は、外部のいろいろな情報をエバーノート上で統合できるようにすることだ。 「すでにアプリケーション連携を果たしているものに、Google DriveやOutlook、Slackなどがあり、先月Microsoft Teamsともつながりました」(ローベル氏)
こうした戦略の下に、2018年2月、まず「スペース」という新機能をリリースした。これは、情報の組織化と共有を活性化させるウィジェットで構成されるGUIだ。ここでスペースに参加しているメンバーの新規投稿や、メンバー間で共有したい重要な情報やノートブックなどを視認性高い形で共有できる。
「ここに、自分が取ったメモ、ファイル、写真、添付、ホワイトボードなど、それが構造化されているか否かを問わず、さまざまな情報を取ってきて置くことができます。メンバーは適切なアクセス権限の下でさまざまなデバイスからアクセスできます。まさにチーム作業の心臓部です。将来的には、サードパーティーツールの情報とか、マシンラーニングが勧める情報といったウィジェットを追加していく予定です。Evernote Businessを新規採用した顧客の約70%がこの機能を利用しています」(ローベル氏)
【次ページ】情報共有をオープンにできない理由
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