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  • 2018/06/29 掲載

経産省調査、特許出願技術動向に見る「日本の競争力」

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特許庁は5月14日、次世代にインパクトを与える最先端分野として、12の技術テーマについて、大量の特許・論文情報を調査・分析した報告書を発表した。12の技術テーマは、「有機EL装置」「自動走行システムの運転制御」「次世代光ファイバ技術」「リハビリテーション機器」「超音波診断装置」「食品用紙器」「リチウム二次電池」「マンマシンインターフェイスとしての音声入出力」「ヒト幹細胞関連技術」「匿名化技術」「CO2固定化・有効利用技術」「MIMO技術」となっている。
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特許出願技術動向からわかることとは
(©moikkelis - Fotolia)

中国・韓国による出願件数の増加が目立つ有機EL装置

 有機EL装置は、有機薄膜を2枚の電極ではさみ、両電極間に電界をかけることで有機材料が発光する有機EL素子を利用した装置で、ディスプレイや照明などへの幅広い応用が期待されている分野である。

 有機EL装置の世界市場規模は増加傾向にあり、有望な市場ではあるもののディスプレイ市場のシェアにおいては韓国が優勢だ。

 出願動向では、2012年以降、中国・韓国による出願件数が増加しており、日本からの出願を上回っている。

 有機ELパネルの成膜方法に関しては、日本は低コストの小型製造装置で高精細なパネルを製造できる「湿式法」の出願件数が多く、日本が他国に先行して開発していることがわかる。

 湿式法は日本の有機EL産業の競争力回復のためのカギとなる技術であり、その生産プロセスを他国に先駆けて確立することが期待されている(図1)。

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図1:有機EL装置の出願件数推移、および「成膜方法・装置」の各国からの出願件数
(出典:経済産業省 報道発表)

全固体電池では、日本は特許出願で優位に

 リチウム二次電池は、近年、小型の民生用だけでなく、車載用、定置用電源等、さまざまな用途に用いられるようになっている。

 容量や出力特性については、特に車載用でのニーズが高く、正極材、負極材、電解質などの要素技術について、各国で研究開発が活発に行われている。

 特に、次世代材料(固体電解質や高容量電極)における研究開発競争は活発で、全固体電池(硫化物系固体電解質)では、日本は特許出願で優位。

 しかし論文では米欧中が件数を伸ばしており、研究開発力で米欧中の追い上げが加速している(図2)。

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図2:硫化物系固体電解質の出願件数推移、および論文発表件数推移
(出典:経済産業省 報道発表)

 大学などの研究機関で行われる新規物質の発見といった独創性の高い研究は、基本特許に結びつきやすく、確実な権利取得を進めることが必要とされている。

 そのため、研究機関と企業との連携を強固なものとし、研究機関が取得した基本特許をもとに企業が特許網を構築するといった、産学で役割を分担した連携が重要としている。

【次ページ】日本の技術で自動走行システムの運転制御を
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