0
会員になると、いいね!でマイページに保存できます。
トーマツは1月、454社にアンケートでたずねた「企業のリスクマネジメントおよびクライシスマネジメント実態調査」の結果を発表した。企業が国内で最も優先しているリスクは、「地震・風水害等、災害の発生」であり、多くの企業で対策の後がみられる結果が出たが、「クライシス経験有無」で、クライシス後の行動に差が出る結果となった。
最優先で対策すべきリスクは自然災害
企業が国内において最も優先して着手すべきと考えているリスクは、「地震・風水害等、災害の発生」(35.9%)が2016年の調査に続き最多となった。
日本国内では数多くの自然災害が発生しており、2016年4月に発生した熊本地震の影響が、いまだ企業の意識を高める一因となったとみている。
2位も前回と同様に「法令順守違反」(29.3%)となり、前回3位であった「情報漏えい」は21.6%で4位となった。
また、昨今の働き方改革につながった背景から、「過労死、長時間労働等労務問題の発生」が16.1%と、前回の10位から7位へと順位を上げている。
海外拠点においては、「子会社に対するガバナンス不全」が22.9%で1位(同5位)となった。
海外拠点におけるガバナンス体制の確立・高度化は、前回調査でも注目の高まりが感じられたが、今回の調査で企業がその優先度を高めている状況が結果として明らかになった。
また、特筆すべき点として、「人材流失、人材獲得の困難による人材不足」が日本国内で3位(前回は6位)、海外拠点で4位(同7位)と、ともに前回より大きく順位を上げたことを挙げている。
人材流動性の高まりを受けて、多くの日本企業が対応を急務としている意識が読み取れるとしている(図1)。
リスクマネジメントプランの策定状況、国内は高水準も海外は策定途上
国内本社、国内子会社、海外子会社統括拠点、海外子会社のそれぞれにおいて、「リスクマネジメントプラン」(リスクが起こらないよう、もしくはその影響の範囲を最小限にとどめるよう、あらかじめ備えるため、体制を整え、対策を立てておく計画)の策定状況を聞いた。
国内本社は、「策定している」が60.6%、「一部策定している」が28.9%で、合わせて9割近い高水準となった。
国内子会社においても、「策定している」が39.4%、「一部策定している」が32.9%で、合わせて7割以上の企業がリスクマネジメントプランを策定していることがわかった。
一方で、海外子会社統括拠点、海外子会社ともに6割弱程度と、日本国内に比べ策定途上であることがわかる。
ただし、いずれの拠点においても前回調査から「策定している」「一部策定している」の割合の合計が増加しており、意識の高まりが感じられるとしている(図2)。
【次ページ】クライシス発生時の対処は、経験の有無で意識の違いが現れた
関連タグ