• 会員限定
  • 2017/06/07 掲載

ファシリテーターは「例えば?」「他には?」「だとすると…ですね」をうまく使え

経営者の意向を超える企画提案の変革(8)

  • icon-mail
  • icon-print
  • icon-hatena
  • icon-line
  • icon-close-snsbtns
会員になると、いいね!でマイページに保存できます。
コンサルティング・プロモーションでは、ソリューション・マネジメントというプロポーザル・レビュー会議の質を高める技術を身につけている必要がある。ソリューション・マネジメントができないとどのようなロスを生むか、ソリューション・マネジメントとはどのようなものか、これを解説する。また、ソリューション・マネジメント実践を支援するファシリテーション・ノウハウについても解説する。
photo
経営者は、戦略達成のための企画提案を待っている

ソリューション・マネジメント=答えをレビューする・知恵を結集する

 コンサルティング・プロモーションにおけるプロポーザル・レビュー会議は、仮説の質を高め、どこへ行って何を調査し、どのようにして意思決定者を、望ましい落としどころに落とすかを決めるためのものだ。そのために、プロポーザル・レビュー会議は、厳しくてかつ優しくなければならない。

 厳しくというのは、意思決定者の意向を超えたか、という達成水準を守ることだ。そのためにファシリテーターや参加者は、「そんなあいまいなロジックでは通じない」、「実証するファクトの質が低く、それでは納得を得られない」などの指摘をガンガン飛ばし、達成水準を維持するための努力をする。また、ファクトとロジックに徹底して執着し、「そのメッセージをジャスティファイするファクトは何だ」、「意味解釈したロジックがおかしい」と指摘する。

 一方、優しくというのは、参加者がもっている事例の知識・多面的な視点を惜しむことなくすべて与えることだ。「そのロジックを言いたいなら、裏付けるよいファクトを知っている。…の事例だ。これをもって行けばよい」、「そのファクトは、…という意味解釈もできる」のように、できるアドバイスをすべてする。

 このように、厳しくてかつ優しいプロポーザル・レビュー会議の実現に、ファシリテーターが用いる技術がソリューション・マネジメントだ。ソリューション・マネジメントとは、常にライト・クエスチョンを参加者に投げかけ、仮説の「答え」を引き出す。ライト・クエスチョンとは、その名のとおり正しい問いかけだ。コンサルティング・プロモーションでは、基本の正しい問いかけを準備している。それは企画提案仮説の項目そのものだ。次の表に企画提案仮説の項目を示す。これらはすべて問いかけの項目だ。

画像
図1■企画提案仮説

企画提案仮説の項目

Ⓐ いつ、いくらで、だれから、何を承認獲得するか
① キー・イシュー(KI:意思決定者の悩み)と、これを打開するための提案内容は何か
② キー・イシューはどのような社内外の事実に基づくか
③ キー・イシューはどのような意思決定者の意志に基づくか
④ イノベーション・ロジック(IL:キー・イシューを解決しリターンを上げるロジック)は何か
⑤ イノベーション・ロジックの効果を実証するファクトは何か
⑥ システムビジョン(イノベーション・ロジック実現のためにシステムと業務をどのように革新するか)
⑦ ビジョン達成課題(意思決定者はどのような課題指摘(反論)をするか)
⑧ 課題解決策(意思決定者の課題指摘(反論)にどのように切り返すか)
⑨ 課題と対策の妥当性を実証するファクトは何か
⑩ プロジェクト戦略(本テーマを突破口に、更なる提案のために何を行うか)
⑪ 遂行方法(標準遂行方法の中で、上記課題をどのように解決するか)
⑫ 承認獲得課題と対策(優位なポジションをどのように獲得するか)
⑬ 意思決定者は現在どのような認識か
⑭ CC(チェンジコンセプト:意思決定者の認識をどのように変革するか)
⑮ 提案計画(以上を踏まえ、今後どのように提案を進めるか)

 プロポーザル・レビュー会議の参加者が、常に仮説内容を準備し、またその場で仮説内容を創造し、「答え」をもっている場合、プロポーザル・レビュー会議は高速で進められ、特に仮説の初期段階では、多様なオプションを議論し、共有することができる。

 しかし、プロポーザル・レビュー会議の参加者が、「答え」を準備ができていない場合、例えば「イノベーション・ロジックは何か」と問われると、「これから現場をヒアリングして、問題を調査し…」のように「答え」を得るための「方法」を話し始めることがある。あるいは現在の状況を長々と話し始めてしまう。トレーニングされていな参加者の場合、経緯や方法を省いて「答え」だけを問われることに慣れておらず、何か言わなければならないプレッシャから、方法を話すことや状況を説明することに逃げてしまうのだ。このようなとき、ファシリテーターは即座に「方法は聞いていない。あなたの今の答え(仮説)を聞いているのだ」と、方法が話されるのを止め、「答え」を求めなければならない。

 プロポーザル・レビュー会議では、このように「答え」だけを問われるので、不慣れな参加者は、責めを受けているように感じることもあるが、そういうものだと慣れてもらうしかない。方法に流れることを許した途端、仮説の質の向上は非常に遠のいてしまう。

 プロポーザル・レビュー会議では、とことん仮説の質を高める議論をした後に、提案に必要なファクトを得るために、どこへ行って何を調査するか決める。これは企画提案仮説の項目⑮の提案計画だ。

ソリューション・マネジメントを支援するファシリテーション・ノウハウ

 ファシリテーション・ノウハウは、ファシリテーション実践のためのノウハウ群だ。一部のファシリテーション・ノウハウを、以下に示す。

この続きは会員限定(完全無料)です

ここから先は「ビジネス+IT」会員に登録された方のみ、ご覧いただけます。

今すぐビジネス+IT会員にご登録ください。

すべて無料!今日から使える、仕事に役立つ情報満載!

  • ここでしか見られない

    2万本超のオリジナル記事・動画・資料が見放題!

  • 完全無料

    登録料・月額料なし、完全無料で使い放題!

  • トレンドを聞いて学ぶ

    年間1000本超の厳選セミナーに参加し放題!

  • 興味関心のみ厳選

    トピック(タグ)をフォローして自動収集!

評価する

いいね!でぜひ著者を応援してください

  • 0

会員になると、いいね!でマイページに保存できます。

共有する

  • 0

  • 0

  • 0

  • 0

  • 3

  • 0

  • icon-mail
  • icon-print
  • icon-hatena
  • icon-line
関連タグ タグをフォローすると最新情報が表示されます
あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

人気のタグ

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

必要な会員情報が不足しています。

必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。

  • 記事閲覧数の制限なし

  • [お気に入り]ボタンでの記事取り置き

  • タグフォロー

  • おすすめコンテンツの表示

詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!

詳細はこちら 詳細情報の入力へ進む
報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます