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- 2014/06/05 掲載
富士通 山本 正已社長「変化の時代だからこそ、攻めの経営が重要」
富士通フォーラム2014 レポート
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すべてがつながることで、面白いイノベーションが起こせる時代
10年前のスーパーコンピュータと同等の性能を有するスマートフォンを、誰もが持ち歩ける時代になっており、それらが大規模ネットワークにつながっている。このような状況が現在、次々に新しいサービスを生み出している。いつでもどこでも、人と人がつながる時代。つながるのは人だけではない。あらゆるものにセンサが埋め込まれ、ネットワークにつながったIoT(Internet of Things:モノのインターネット)の時代を迎えているのだ。
「スマートフォンには多くのセンサが内蔵されていますが、これからは電化製品など、さまざまなものがネットワークにつながることで、新しい価値を生み出すでしょう。スマートメータによるエネルギー管理もその1つです。家庭や企業で電気の使用状況を把握して、電力供給の最適化に利用できます」(山本氏)
ネットワークにつながるセンサの数は、数年内に500億を超える規模になると予測されている。これらのセンサが生み出す膨大な情報を処理するためにICTが活用され始めている。
「まさに我々は、すべてがつながる時代の真ん中にいます。ビジネスや生活や日常が大きく変わることは確実で、これまで実現できなかったこと、ありえないと思われていたことができるようになるかもしれません。イノベーションという観点からは、非常に面白い、エキサイティングな時代になるものと確信しています」(山本氏)
新しい技術により、新しい挑戦へのハードルが下がっている
つながる社会は、非常に大きな可能性を秘めている。グローバル化は年々進展しており、企業も無視できない状況だ。たとえばサプライチェーンについては、世界中から部品を調達し、最適地で生産することが当然になり、生産管理やサプライチェーン・マネジメント(SCM)の高度化がこれを支えている。「富士通でも、サーバビジネスではドイツのグローバル・ヘッドクォータがすべてをコントロールしています。もはやビジネスがどこで行われているかは問題ではありません。研究・開発も同様です。世界各地のエンジニアがリアルタイムでコミュニケーションを取れる環境が整っています。設計から製造まで、トータルでグローバル化が進んでいます」(山本氏)
もちろん、ものづくりの世界も様変わりを始めている。シミュレーションや3Dプリンタの活用で、コストや手間が大幅に減り、いろいろなアイデアを試しながら生み出せる環境が登場した。設計内容を事前に可視化できるAR(Augmented Reality:拡張現実)の活用もその一例だ。
「設計された工場プラントをバーチャルに体験することで、大きな構造物でも実際に作る前に確認できるようになりました。このような技術によって、新しい挑戦へのハードルも下がっています。圧倒的な競争力を生み出す大きなチャンスです」(山本氏)
同時に、これまで参入障壁のあった分野にも新たなチャレンジャーが登場し、業界の区分が変わり始めている。
「Eコマース最大手のAmazonは、自社のリソースを活用したクラウドサービスで成功しています。ITと流通の関係も崩れてきました。野菜の生産から物流商品加工まで手がける総合スーパーも現れました。業界の垣根を越え、小売と農業が融合した新業態の誕生とも言えるでしょう。あるいは、SNSをベースに個人が旅行者に自分の家を貸し始める宿泊サービスまであります。意外なところから新たな競争相手が登場し、旅行業界では宿泊ニーズの全体像が分らなくなっているのです」(山本氏)
【次ページ】 パラダイムシフトが起き始めた変化の時代は、“攻めの経営”が重要
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