- 会員限定
- 2014/03/24 掲載
クラウド型電子契約サービスの導入で、スピーディで無駄のない契約業務を実現。大幅なコスト削減に成功
契約業務の負担を改善すべく、クラウド型の電子契約サービスを導入
「パーチェスワン」は、クラウド型購買システムをクライアント(バイヤー企業)に導入してもらい、オフィスで使う文具や什器、工場の生産設備の備品、消耗品、研究所で使用する器具や実験動物など、いわゆる「間接材」と呼ばれる商品の調達から、工場設備の修繕などの役務サービスの手配に至るまでのロングテールな購買・調達業務のアウトソーシングサービスを提供している。 パーチェスワンに興味をお持ちの方は、こちらで詳細をご覧いただきたい。
従来まで、このような間接材はバイヤー企業がサプライヤー企業に直接購入し、数百から数千という全国のサプライヤー企業から、必要な商品やサービスを現場でバラバラに購入・手配していたのが実状だった。ソフトバンクBBパーチェスワン事業統括部の谷 佳幸氏は、「購買システムを利用しないでたくさんのサプライヤー企業と取引することは、全社的に見ると大変な人的工数が掛っています。毎日の取引業務だけでなく、月次の請求書の処理や支払い業務も膨大なものになります。しかしパーチェスワンを導入すると、現場からの購買要求を、購買システムを通じて弊社購買センターが集中して受付け、購買業務を集中化・集約化することができます。また、弊社がサプライヤー企業との取引の間に入り、バイヤー企業に代わって商品を調達しバイヤー企業に提供するという方式を取ることで、支払を弊社に一本化し、支払業務を大幅に簡素化することができます。多数のバイヤー企業の購買を担うことで、1社単独で購買するより割安に調達できるというメリットも生まれています。」と説明する。
パーチェスワンは、クライアントであるバイヤー企業にとって良いこと尽くめのサービスだが、その一方で購買業務を担うソフトバンクBB側では新たな課題を抱えていた。谷氏は「パーチェスワンが1つのバイヤー企業に採用されると、最大で数千もの取引先と取引基本契約を数カ月の間に締結しなければならないことがあり、この業務をいかに合理化していくかという課題がありました。決められた期限内に取引基本契約が締結できなければ、バイヤー企業が必要とする商品やサービスを調達できなくなります。アナログ時代は紙の契約書に収入印紙を貼って、郵送していました。その過程で膨大な処理を迅速かつ正確に行う必要があり、我々にとって大きな負担になっていました」と当時を振り返る。
そこで、このような課題を一挙に解決するために、新日鉄住金ソリューションズのクラウド型のオールインワン電子契約サービス「サインナップワン」(図1)を導入し、2013年11月から利用を始めたという。パーチェスワン事業統括部という1部門で利用するために、2012年夏の検討当初から、部門単独でも利用可能なクラウド型の電子契約サービスを検討していたそうだ。当時手当たり次第に電子契約システムを検討したが、契約書作成から、条文修正のやり取り、署名・締結に至る契約業務を一気通貫でできる電子契約のシステムが見つからなかったために、2013年11月の「サインナップワン」の提供開始を待って導入をした。「サインナップワン」の開発の過程では、課題や要件を洗い出し、特に画面の操作性を重視して、理想の電子契約サービスとなるように要求もした。
谷氏は「私どもは、1部門で締結する取引基本契約の数では、断トツ日本一ではないかと思います。契約業務で何が課題で、どうすればよいのか、その答えとノウハウを蓄積してきました。そこで自社で最も効果的に活用できるよう徹底的に要件を詰め、たくさんの電子契約初心者の取引先の利用を前提に、使い勝手にもこだわりました。」と自信を見せる。
電子契約化で印紙代が不要に!取引先 1000社あたりの契約コストで766万円を削減
ここからは電子契約サービス「サインナップワン」のメリットについて詳しく見ていこう。ソフトバンクBBでは「サインナップワン」を活用して、短い準備期間で契約書の準備から締結までのやりとりを可能にした。紙契約時代は10人がかりで契約書を準備し、一定期間3人程度で取引先との契約窓口業務を行っていたが、現在は、谷氏が専門的に、1,000社ほどの取引先との契約業務を一人で回せるようになったそうだ。電子契約化により契約業務の集中化が可能になり、業務運用までも効率的に変わるようだ。効率化には、「サインナップワン」に付帯する無償サービスであるヘルプデスクも非常に有効のようだ。谷氏は、「取引先は、ほとんどが電子契約の利用は初心者。サービスの一環で提供される取引先向けの手引き書や社内事務処理管理規定サンプルなどのマテリアルが充実しており、これを加工して取引先に配布することで、問合せを大幅に減らせたと思う。システム操作のお問い合わせは、無料のヘルプデスクが直接対応してくれるので、自社の準備がかなり軽減でき、特別な体制作りが不要だったので、1部門で導入できたのだと思う。」と語る。 だが電子契約化のメリットは、これ以外にも数多くある。まずコスト面での絶大な効果が挙げられるだろう。「コストの観点での最大のメリットは、電子契約にすると印紙を貼る必要がなく、印紙代を削減できることです。従来の取引基本契約では、1契約あたり4,000円の印紙を貼る必要があり、パーチェスワンの取引では、1取引先との間で通常2種類の性質の異なる取引業務の基本契約を締結しているため、弊社、取引先双方に8,000円の印紙代が発生していました。私どもの場合、年間数千の取引先と基本契約を締結しますので、印紙代だけで数千万円かかります。しかし電子契約化すれば、印紙代分だけでも、大変なコスト削減につながります(※1)」。
※1:印紙代がほとんど不要
印紙に代わって電子証明書が必要になり、サインナップワンでは電子証明書発行申請料として3,560円を支払うことになる。この電子証明書は、署名回数の制限なく1年間使用することができる。したがって契約数(電子署名数)が多ければ、電子証明書の1契約あたりのコストはゼロに近くなる。
また地味だが、コスト面では印刷・製本・郵送などの諸費用が削減されることも大きい。「サインナップワン」を導入したときの取引先1,000社あたりの契約締結コストについて、人的工数の削減により50万円程度のコスト削減、紙代・郵送代などで20万円程度のコスト削減、さらに印紙代で800万円のコスト削減になると試算している。一方、システムの利用料として104万円が必要になるが、それでも差し引き766万円のコスト削減効果が見込まれるという。
当然ながら、取引先と契約を合意するまでのプロセスがシステム化されるため、人的ミスが減り、数字に表れない部分でのコスト効果もある。契約先との修正のやり取りもシステム上で行え、社内関係者もシステム上で処理をするため、契約時の押印の手続きで社内を移動することも不要だ。
「これまで契約書を1枚ずつ紙で印刷してから相手に郵送していました。我々は一体何屋さん? と思うほど契約業務は煩雑でした。電子契約化により煩雑な作業がなくなり、紙代、印刷代、郵送代も不要になりました。記載漏れや押印漏れによる再送、契約書の放置といったリスクも減りました。郵送ではいつ相手に届いたのか分かりませんが、電子契約化されて、相手方の契約の進捗状況も可視化され、締結後の契約書も自動保管されるため、紛失の恐れもなくなり、送付・返送のリードタイムもネット上で瞬時にやりとりでき、大幅短縮できました。」
【次ページ】契約書の進捗状況の確認、ToDoの表示、締結後の契約書の自動保管、多角的・複合的な契約書の検索・抽出が特徴
関連コンテンツ
PR
PR
PR