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- 2012/06/27 掲載
オフショアに最適なトップ30か国は?ITの調達先として良い国と悪い国を見分ける
中国かインドか?東南アジアか?
グローバルデリバリーで考えておくべきリスクとは?
グローバルデリバリーを選択する際には、国や地域ごとの事情を抱えているケースもある。慣れない他国のプロバイダーからサービスを受けると、従来にない問題が発生することもある。
マリオット氏は「オフショアのロケーションへ仕事を移動する際には、コスト削減を目的にすることが多い。しかし、コストを削減するとリスクも大きくなることを理解しなければいけない」と釘を刺す。とはいえリスクには管理できたり、低減できるものもある。そのためには、しっかりしたプロセス管理や戦略を構築しなければならないという。
ではグローバルデリバリーにおける最新リスクと課題は何か。このリスクには「サービスプロバイダー」「グローバル・デリバリ・モデル(以下GDM)」「国/地域」の分野がある。
まず将来に渡ってそのサービスプロバイダーが存在するか?という「存続のリスク」が考えられる。大きな事業者を選ばないと、契約中に買収される可能性があるため、その選択には安定性や一貫性が求められる。
GDMに関しては運用面でのリスクがある。システム開発において、世界中のエンジニアやサービスプロバイダーなどのリソースを最適化して活用するものがGDMだ。「注意すべきは、すべてのプロバイダーが同様のGDMを持つわけではない点。世界中にサービスを提供し、強力で一貫性のある統合モデルを持つところもある。しかし、まだGDMに移行中で、コンポーネントが疎結合になっているところもある」とマリオット氏。したがって効果的にGDMが実行されるには、どういう業務をしているか把握しておくことが肝要だ。
さらに国/地域によるリスクは最も難しく、懸念すべきものだ。オペレーション・リスクを管理するにも、国/地域の場合は企業ではどうにもならない。「日本のような自然災害もあるが、中東で広がった反政府デモのような動きも注意が必要だ。エジプトのようにインターネットがシャットダウンしてしまった地域もあるからだ。メキシコでは麻薬がらみの犯罪・暴力もあり、物理的な安全が確保されないため、デリバリー・センターを置かないと表明する事業者もある」(マリオット氏)。
このほか政府がインターネットやWebを検閲したり、電子メールを傍受している国も同様だ。グローバル戦略の中で、プロバイダー選択時にどの国が安定しているのか勘案し、リスクを回避するようにしておいたほうがよい。
オフショア戦略を静的にとらえず、動的に変えていく
このほかにも現実的なリスクもある。たとえばインドでは数年間にわたりコストが上昇中だ。人気と需要が高まるにつれ、リソースが不足し、賃金も年15%ぐらいずつ上がっている。バンガロールでは不動産の価格も高騰した。そうなると、わざわざオフショアで業務を移すメリットも減る。本当にその地域でよいのか再確認し、コストや人件費が安い地域とのミックスも考えたい。こういった地域はインドだけではない。たとえば、その1つにウクライナがある。ここ1年間で顧客に対するチャージレートが25%も上昇した。動向を見て、どこに投資していくか検討すべきだ。
もう1つリスクとして挙げられるのが離職率だ。ある大手プロバイダーでは離職率が毎年20%という時期もあった。こうした動きは一貫性に欠け、品質の低下にもつながる。また人員転換も問題だ。
サービスプロバイダーの中には、顧客との関係上、人的スキルを調整し、配置を変えるケースもある。技術水準の高い人材を確保したければ、一定期間縛りを入れる契約を盛り込むことで一貫性を担保できる。
しかし、さらに問題となる最大リスクがある。「それは買い手側の自己満足だ。事業者を一旦選んだら変更しないユーザーが多い。しかし、どんな場合でも状況は変わる。品質、リソース、可用性などを定期点検し、オフショア戦略を微調整したい。同じプロバイダーでも業務の場所を一部移転してもらうことも考えたい。戦略を静的にとらえず、動的に変えていくことが求められる」(マリオット氏)。
【次ページ】今、どの国がベストか?ガートナーが選ぶ上位30か国
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