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2010年、欧州のクラウド市場は2010年、前年比20%の大幅増となった。2015年にはソフトウェア・サービス分野における収益の約15%を占めるまでに成長すると見込まれているという。対仏投資庁(AFII)の発表によれば、フランスのクラウド市場は2010年に18億5千万ユーロ(約1,805億円)に達し、うち6億7200万ユーロ(約36%)が中小企業によるものだった。
仏ITコンサルティング企業Nexima社によれば、フランスのクラウド市場は2012年に20億ユーロを超えるとされ、年内にフランスのソフトウェア・サービス市場の6%を占めると推測されている。
フランスではマイクロソフト、グーグル、HP、AT&T、IBMといった国際大手企業に加え、ATOS(アトス)、Cap Gemini(キャップ・ジェミニ)、Steria(ステリア)、Orange(オランジュ)、SFRといった多くのフランス企業がクラウド事業を行っているという。
アトスは2011年11月に、中国のUFIDA(用友)とのジョイントベンチャー「Yunano」を設立し、中堅企業向けにクラウドベースの管理ソフトと関連サービスを提供している。また、アルザス地域圏とイル=ド=フランス地域圏を拠点とする仏ソフトウェア企業のSystanciaは、デスクトップ環境の仮想化(アプリケーションとワークステーション)で欧州のリーダー企業の1社となっている。
新規参入の一例である米Joyent社は2010年からイル=ド=フランス地方に進出しており、LinkedIn(リンクトイン)、ディズニー、 CNN、 Facebook、ヤフー、Vente-privee.comにインフラ(IaaS)を、そして、ITベンダー、ホスティング業者、デルやFirst serviceなどのPCサービス業者にオープンソースプラットフォーム(PaaS)を提供している。Joyent社はベンチャーながらクラウドのパイオニアであり、目下、Amazon EC2やMicrosoft Azureといった大手と競合しているという。デルは2010年、Joyent社とOEM契約を結び、同社のスマートテクノロジを利用したターンキー製品を提案している。
フランス政府は2011年、将来への投資計画の一環として、クラウドコンピューティングに関する研究開発プロジェクトの1次募集を行い、次の5件が1900万ユーロの公的支援を受けることになった。
・ソフトウエアプラットフォーム(クラウドフォース計画:Orange Labs が担当)
・アプリケーション移植ツール(クラウド・ポート計画:中小企業 Prologue 社が担当)
・高性能ソフトウエアインフラ(「マジェラン (Magellan) 計画」: Bullが担当)
・共同体クラウド(Nu@ge 計画:中小企業 Non Stop Systems 社が担当)
・高等教育機関用クラウド(UnivCloud 計画: INECOが担当)
「フランスは先端技術・イノーベーション推進企業、特にクラウドコンピューティングに有利な事業環境を提供している。同分野の主要企業はすでに市場に根付いている。政府の将来への投資計画は、産業クラスターにより形成されたパートーナーシップを強化し、ITシステム設計業者、通信事業者、ソフトウェア制作会社、あるいは、技術インテグレーター、研究所、イノベーティブな中小企業が推進するプロジェクトを財政的に支援している」(対仏投資庁長官ダヴィッド・アピア氏)
対仏投資庁は、フランスへの国際投資誘致、進出企業向け支援を担当するフランスの国家機関。フランス全土の地方経済開発局と連携して、外国企業にビジネスチャンスを提案している。
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