IDCでは2009年4月、2010年1月、2010年7月、2011年4月の4回にわたって、ビジネスPCユーザーの調査を継続的に行っている。

　今回の調査では、デスクトップPCの利用年数が4.6年、ポータブルPCが4.1年となった。PCの平均利用年数は、2年前に実施した2009年4月の調査と比べて、デスクトップPCは0.4年、ポータブルPCは0.5年、それぞれ延びたという。


　ユーザー企業のPC製品に対する評価は、全体の86.0％が「満足している」という結果となった。2010年の7月調査の85.4％と比較して0.6ポイント増加した。IDCでは、高い満足度を達成している一方で、同時にPC製品のコモディティ化とPC市場の成熟化が進んでいると指摘している。

　PCベンダーに対する評価では、2009年4月調査での不満足項目が2011年4月調査で改善したベンダーはNEC、富士通、東芝、デル、HPだった。これはPC出荷台数の上位ベンダーになる。

　PC製品に対する期待に関しての4回の調査結果では、いずれも「安価な製品の提供」が第1位だった。価格に対する要求が依然として高い割合となったという。

　ただし2009年4月の調査では低価格を要望する割合が25.3％だったが、2011年4月の調査では18.0％にまで減少しているという。

　価格を下げて欲しいという要求が依然高い一方、「長期間の製品保守対応」「省電力対応」「高性能な製品」などに期待する割合が上昇した。IDCではある程度の安さを求めつつ、長く安定して使用できる省電力対応の製品が求められていると指摘している。

　また、「Windows 7導入済み」企業の割合は23.2％と、前回調査（2010年7月）の9.7％を大きく上回った。各企業でのOS導入に向けての評価はスケジュール通り順調に進んでおり、IDCではユーザー調査の結果から、2011年年末のWindows 7導入率は約30％程度になると予測しているという。

「今回の調査結果から、2011年は企業でのWindows 7導入率上昇により、PCの買い替えがより促進されると考えられる。クラウド、仮想化などの買い替え促進ドライバーの影響によって、ビジネスPC市場は拡大基調にある。一方、PCのコモディティ化とPC市場の成熟化は進んでおり、平均使用年数も長期化している。これを打破するために、PCベンダーは機能や技術での差別化から脱却し、サービスやマーケティングで他社との違いを際立たせるブルーオーシャン戦略を考案する事が重要である」（IDC Japan PC、携帯端末＆クライアントソリューション シニアマーケットアナリスト 渋谷 寛氏）

　今回の発表はIDCが発行した「2011年 国内PC市場 ビジネスユーザー利用実態調査」（J11150103）にその詳細が報告されている。