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- 2011/03/03 掲載
東京は?北京は?サンフランシスコは? A.T. カーニーのリポート調査から、世界各都市の実力を知る
「都市のエリート」の条件とは?
※本稿はA.T. カーニーの英文リポート「The Urban Elite -The A.T. Kearney Global Cities Index 2010」(原題)の日本語訳を要約したものです。
グローバル都市の条件とは? ~指標から見た各国のランキング動向
A.T. カーニーは長年、フォーリンポリシー誌と共同で世界各国のグローバル度調査を実施してきた。「2010年グローバル都市指標(グローバル・シティ・インデックス)」では、世界の資本や人材、アイディアを引きつけ、またそれらを生み出す能力を「グローバル度」として定義し、調査を行っている。具体的な測定方法としては、① ビジネス活動、② 人的資本、③ 情報交換、④ 文化的経験、⑤ 政治的関与の5つの分野について評価・数値化を行い、それらの加重平均による総合スコアによって、世界の65都市のグローバル度を測定した。また、ほとんどの都市でグローバル度の平均スコアは前回調査時(2008年)よりも高くなっており、多くの都市でグローバル化が進展している。一方、最もランクの高い都市群と最もランクの低い都市群とのスコア差は広がっている(図2)。またシドニーやサンフランシスコ、ベルリンなど中位層の都市は上位層との差を急速に詰めており、その下に続く大阪やヨハネスブルグ、カイロなども追い上げが目ざましい。しかし、重慶やダッカなど最下位層の都市と上位との乖離は、むしろ目立ってきている。
とくに顕著に見られた傾向は、グローバル都市は危機に対しても強かったということである。2008年の世界経済危機に際しても、上位のグローバル都市の多くは、懸念されたよりもダメージがはるかに小さく、むしろ反対に強さが増している。
情報も、グローバリゼーションには欠かせない要素だ。ベルリンやフランクフルト、シドニー、サンフランシスコ、マイアミの順位上昇がその証明である。これらの都市はいずれもブロードバンド面での向上や、国際的な報道の増加によりスコアが上昇している。
また2010年の指標には、新しく「検閲」という評価項目が加わった。この結果、2010年度の調査結果では、バルセロナやモントリオール、ジュネーブ、ヒューストン、ナイロビといった都市が上位65都市に新しくランクインしている。ジュネーブやナイロビには国連の重要拠点が置かれ、バルセロナはイベリア半島の文化とビジネスの一大ハブである。
また検閲の項目が今回入らなければ、新興国の都市の多くがより高いスコアとなっただろう。移民の受け入れもグローバル化の重要なポイントだが、アジアの大半の都市はまだ充分な域に達していない。
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