- 2010/07/09 掲載
「フロア冷却と局所冷却を混在したハイブリッドが拡大する」APC、データセンター向け新冷却システムを発表
![]() Chief Marketing Officer (CMO) Aron Davis氏 |
![]() Product Line Manager John Niemann氏 |
![]() ビジネスデベロップメント 安藤敦氏 |
仏Scheider Electric(シュナイダーエレクトリック)は、送電装置などを手がけるメーカー。2006年にUPS事業を手がけるAPCを買収している。発表にあたり来日した仏シュナイダーエレクトリックのCMO(Chief Marketing Officer)Aron Davis氏は、「シュナイダーエレクトリックは170年の歴史を持ち、米GEよりも50年早く創業されたファシリティ分野でのトップベンダー」と自社を紹介し、今回の新製品の開発、発売の背景として、現在のデータセンターの抱える問題について整理した。Davis氏によれば、データセンター事業の最大の課題は、電力消費と冷却が第一、第二は予算管理やコスト削減だという。
そして、一般的なデータセンターの場合、その消費電力に占めるサーバー本体の負荷は30%程度であり、それ以外はUPSや冷却設備に関するものが占めているという。しかも、IT業界における仮想化やクラウドコンピューティングの拡大により、相対的にサーバーの利用効率が上がっているので、消費電力に対するITリソースの占める割合は、むしろ非効率になってきているとした。
これは、IT部門とファシリティ部門の連携や全体的な事業計画なども背景にあるとして、今後企業のIT化を進めるには、ファシリティ部門との協調は欠かせないと述べた。APCでは、このソリューションとして4つの「C」、すなわちComponents(効率を最適化されたコンポーネント)、Close-Coupled Cooling(近接冷却)、Containment(暖気の囲い込み)、Capacity Manager(電力・冷却能力の管理)を掲げ、データセンターに最適な製品を提供しているとした。
続いてAPCのProduct Line Managerである John Niemann氏が登壇し、APCの具体的な冷却ソリューションと技術について説明を行った。APCでは、高密度化するサーバーやラックに対して、早くから列単位冷却システムを市場に投入している。その後ほとんどのベンダーが類似のシステムを採用しているとして、この方式のマーケットリーダであることを強調した。
次に、アクティブレスポンスコントロール技術として、ラックの入り口温度を監視し、ファンなどの動作を制御する技術、そして、ホットアイル・コールドアイルと熱気と冷気を分離する手法などに力をいれていると紹介した。とくに列単位冷却、局所冷却については同社の得意分野として、今回の新システムにも採用されているとした。
最後にAPCジャパンのビジネスデベロップメント 安藤敦氏が、InRow OAとRDUの具体的な特徴や仕様について解説した。InRow OAは、ラック列の間(ホットアイル)の上部に設置され、熱気を直接吸い上げ冷却するチラーユニット。RDUはInRow OAに冷媒、冷水を分配する冷媒分配装置となる。ホットアイル上部に冷却ユニットを取り付けることで、その両脇のラックを直接冷やすことができる。また、InRow OAは従来のエアコンのようなコンプレッサーを使用しないので、低消費電力にも貢献する。

また、上部に直接冷却ユニットを乗せることで、循環用のフリーアクセスや高床式の高圧ユニットも必要ない。RDU分配ユニットからの冷水・冷媒の循環パイプが、直接InRow OAに配管されることで、導入にあたって建物側の配管工事が不要にできるという特徴も持っているそうだ。
もちろん、局所冷却システムなので、既存の施設が高床式であってもそのまま利用することができる。「今後は、センターの効率化、高密度化が進むので、フロア冷却と局所冷却を混在したハイブリッドデータセンターも拡大するだろう」(Niemann氏)との見方もある。
InRow OAおよびRDUの新冷却システムの標準価格は2,900万円(InRow OA×8、RDU×1+アクセサリ)で、3年間の販売目標は200セットとのこと。

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