• 2010/03/25 掲載

大企業の海外拠点のWAN接続予算、増加が減少を上回る--海外拠点の拡大が背景

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IDC Japanは、国内企業の通信サービスの利用に関する調査結果を発表した。発表によると、不況下でも、大企業の海外拠点のWAN接続に関する予算は、増加傾向にあることが明らかになったという。
 海外拠点を持つ従業員数1,000人以上の企業のうち、2010年の海外WAN予算を2009年より「増やす」と回答した企業は23.0%、「減らす」と回答した企業は19.9%と、増加が減少を上回った。IDC Japanによれば、国内拠点向けの通信予算は、企業規模によらず2008年から引き続き縮小傾向にあるという。従業員数100人未満の企業では、国内同様、減少傾向が強い。

 この背景として、現在、大企業の多くが中国を始めとするアジア諸国に生産、販売拠点を拡大しており、特に販売拠点については、以前の不況時のように一時的な不採算を理由に完全撤退するケースは少なくなっていることをIDC Japanは挙げている。むしろ、今後の成長が望めない国内市場からアジアへと新たな市場を求め、展開を加速している状況だという。

photo
2010年の海外拠点のWAN接続に関する予算増減見込み:従業員規模別
Note:WAN接続している海外拠点がある企業に質問
(出典:IDC Japan,2010/03)

 また、サーバ/データセンター集約、映像アプリケーション、シンクライアントといった上位レイヤーにおける取り組みが、WAN回線の帯域拡大につながると考え、対応策の取り組みを行っている企業が約3割にのぼるという結果になったという。さらに、広域イーサネット市場では、3年連続で利用帯域の拡大傾向がみられる一方、IP-VPN(スタンダード)市場では利用帯域は3年連続で縮小傾向だった

 IDC Japanコミュニケーションズ シニアマーケットアナリストの小野 陽子氏は、「大企業は、不況下においても、海外拠点におけるWAN利用への投資を拡大している。通信事業者は、海外市場に活路を求めて積極的に海外展開を進めるユーザー企業のこのような動向を踏まえ、不況下においてもグローバルサービスを積極的に推進していくべきである」と指摘している。

 今回の発表はIDCが発行したレポート「2010年 国内通信サービス 企業ユーザーデマンド調査」(J10060102)にその詳細が報告されている。

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